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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

冠島とオオミズナギドリ【雛との対面編】

2019年09月13日
山陰海岸国立公園 派谷 尚美

 皆さま、こんにちは。竹野自然保護官事務所の派谷です。

 前回は、冠島という無人島へ上陸し、オオミズナギドリの巣穴を確認したところまでお伝えしました。今回は待望(!?)のオオミズナギドリ雛との対面です。

雛の体重測定

 いかがでしょうか。この雛の愛らしさ。

 冠島調査研究会の先生が、調査・研究のために足環を着け、頭・嘴(くちばし)・翼の長さと体重を測定しました。この雛は体重436グラム。成鳥の平均体重は約500グラムだそうです。

オオミズナギドリ雛のカメラ目線

 正面顔は、この可愛さです・・・私は一瞬でメロメロになりました。

 ※オオミズナギドリに触れるには鳥獣保護管理法の許可が必要です。

巣穴に戻された雛

 雛をそっと巣穴に戻したら、早くも帰りの船の出発時間がやって来てしまいました。

 私は今回、日帰りで調査に同行しましたが、冠島調査研究会の方々は、3泊4日で島に滞在して調査を行いました。この調査は毎年、1年に2回行われています。昼の調査では雛の成長具合や親鳥からもらった餌の量を確認し、夜の調査では成鳥に調査・研究のための足環を装着し、体長の測定や数を記録したりと、厳しい暑さの中、無人島での大変な作業を続けているそうです。

冠島の漂着ごみ① 冠島の漂着ごみ②

 さて、行きはオオミズナギドリのことで頭がいっぱいでしたが、帰りは島の状況に注意を払いながら歩いてみました。

 冠島にも、やはりたくさんの漂着ごみがありました。この島の漂着ごみで特に目立っていたのは、発泡スチロール製フロートやプラスチック籠などの漁具と、ペットボトルでした。

冠島の漂着ごみ③

       無人島(冠島)の海岸にも多くの漂着ごみが

 漂着ごみの現状を目の当たりにする度に、野生生物たちへの申し訳なさで胸がいっぱいになります。無人島で暮らす生き物たちも、人間社会から出るごみの影響を受けています。

 世界中で多くの海鳥が、プラスチックごみを誤飲しているといわれています。飲み込んだプラスチックは消化しないので、糞と一緒に排泄されないものはお腹の中に溜まっていきます。冠島のオオミズナギドリも、ごみを誤飲しているかも知れません。

 海洋ごみの問題を解決するためには、今あるごみを回収することと、これ以上海にごみを増やさないことが必要です。私たち一人ひとりが実態を知り、意識と行動を変えることで、問題の解決に近づくことは可能だと思います。

 環境省では、海洋ごみ問題について多くの方に知っていただくことを目的として、学習用教材を作成しています。小中学生用と高校生用があり、大人の方にもご利用いただける内容となっておりますので、ぜひご覧ください。

【海洋ごみ教材(小中学生用・高校生用)】