アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]
海岸に〇〇がいっぱい!
2019年03月12日皆さま、こんにちは。
竹野自然保護官事務所の派谷です。
竹野といえば、「竹野ブルー」とも称される夏の海のイメージが強く、観光で訪れる方の多くは夏の海を目にします。
しかし今回は敢えて、3月の海岸の様子をお伝えしたいと思います。
2019年3月のとある日の大浦湾 (兵庫県豊岡市竹野町)です。
スッキリと晴れて、海は深みのある青色です。
素晴らしい透明度!
水に濡れない所から少し覗いただけでも、ヒトデ、ウニ、ヤドカリが見られました。
しかし浜に視線を向けると、もっとたくさんのあるものが目につきます......。
たくさんの漂着ごみです。
日本海に面した大浦湾では、季節風の影響で冬を中心に漂着ごみの量が増えます (夏の台風通過後なども大量のごみが流れ着きます)。
特に多いのはペットボトル、プラスチック製品、ロープやフロートなど漁で使う道具です。
ボトルのラベルを見ると韓国語や英語のものがあり、外国からのごみが混ざっていることが分かります。
風や海流に乗って様々な国からごみが運ばれて来ますが、同様に、日本のごみも海に流れ出て、世界中に散らばっていることは容易に想像できます。
私が大浦湾を訪れたこの日、一人のパークボランティアさん(※)と出会いました。この方は、長い間大浦湾の海岸清掃を続けてくださっています。
ご了承をいただいて、お話を伺いました。
(パークボランティアさんのお話)
「こんなにきれいな海を前にして、浜辺がごみで汚れているところを見るのは悲しいです。少しでもごみを拾うことで、少しでもきれいにできたらという思いで続けています。
私は中国にたくさんの知人がいまして、元気を知らせる便りを送るときに、海岸清掃の写真を添えています。日本の海岸に大量のごみが流れ着いていること、こんなふうに人の力で拾っていることを少しでも伝えることができたらと。
中国の人たちを山陰海岸のきれいな海に連れて来ると、皆、海水の透明度に衝撃を受けます。このきれいな海でも、岸辺にはたくさんのごみが打ち上げられているという現実を少しでも伝えたいです。
外国からのごみが流れ着いている一方で、日本から出たごみも外国に運ばれています。(大浦湾を見渡して)この状況に対処するには、時間と人力を使ってコツコツと清掃を続けることが必要だと思います。」
この日だけでも、こんなにたくさんのごみを回収してくださいました。
それでも大浦湾にはまだまだごみが残っています。
大浦湾は、段差や砂利などの影響で重機を使った海岸清掃が難しい場所です。
そのため、パークボランティアの多くの方々が、ごみをひとつひとつ手で拾う作業を少しずつ続けてくださっています。
一度きれいにしても、別のごみが次々と流れて来ます。だからといって何もしなければ、ごみは増える一方です。
少しずつでも拾って片づける、そしてそれを続けることが今私たちにできる一番の対処法だということを、私も海の近くで暮らしたこの一年間を通して強く感じてきました。
この日、パークボランティアさんのお話を改めて聞き、私自身もさらに力を入れてこの問題に取り組むぞ~!と気合を入れ直しました。
※パークボランティアとは、自然保護思想の普及啓発を図ることを目的として、国立公園での活動に自発的に協力頂ける方にご登録頂いている環境省のボランティア団体です。竹野地区では、竹野スノーケルセンターの運営補助や海岸清掃を中心とした活動にご協力を頂いています。