アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]
大台ヶ原での取組み ~防鹿柵(ぼうろくさく)と剥皮(はくひ)防止ネットの巻~
2018年07月24日皆さま、こんにちは。吉野自然保護官事務所の小川です。
記録的な猛暑が続いていますが、アウトドア活動の際は、熱中症に気をつけて下さい。
また、山の天気は大変変わりやすいので天候や装備のほか道路状況などの確認もお忘れないようにしてください。
さて、本日は、環境省が大台ヶ原で行っている取組みの一部をご紹介します。
大台ヶ原を散策していると、歩道沿いに突然、柵が建っていたり、木に網が巻いてあったりと、折角自然を楽しんでいるのに「何だろうこれは・・・?」と思ったことがある方もいるのではないでしょうか。
これらは、大台ヶ原に生息するニホンジカの食害から植生を保護しているもので、ニホンジカの侵入を防ぎ、柵の中の植生を守る防鹿柵(ぼうろくさく)とニホンジカから樹皮はぎをされないようにする剥皮(はくひ)防止用ネット(通称:ラス巻)と呼ばれるものです。
東大台歩道沿いの防鹿柵 東大台歩道沿いの剥皮防止ネット
もともと大台ヶ原は苔むす森林が広がる山でしたが、昭和34年の伊勢湾台風をはじめとする大型台風による風倒被害やコケ類の衰退、ミヤコザサの増殖、ニホンジカの増加といった様々な要因により、森林が衰退してきました。
国立公園の自然を皆さんにこれからもずっと親しんでいただくために、環境省では、森林の衰退を食い止め、森林生態系を再生していくために、「大台ヶ原自然再生事業」を行っています。防鹿柵と剥皮防止用ネットはその一環であり、大台ヶ原の自然を後世に残していく取組みの一つです。防鹿柵は、稚樹や下層植生の保護と回復をはかるため、山中や歩道沿いなど様々な場所にあり、剥皮防止用ネットも数多くの木々に巻かれています。自然の中では少し違和感があるかもしれませんが、大台ヶ原の自然に親しむ際に是非知っていいただきたい事柄の一つです。歩道沿いで見かけたら、遠目にはなりますが、柵の中と外、そしてネットを巻いてある木と樹皮はぎされた木の違いなどを是非ご覧下さい。
西大台歩道沿い防鹿柵の外と中 ニホンジカの食害にあった(剥皮された)木
さらに、環境省では、大台ヶ原での自然再生の取組みをより深く知っていただける特別な機会を準備しております。
大台ヶ原の自然や自然再生事業に詳しい特別講師とともに、普段は近寄ることができない防鹿柵を見学し、より深い話を聞くことができるチャンスです!
(※下記内容の3ツアーのうち、自然再生ツアー参加者が対象です。)
皆さまのご参加をお待ちしております。
☆上北山村 神秘の森 荘厳の山 「大台ヶ原を歩く」☆
日程:7月28日(土)、8月1日(水)、9月28日(金)
内容:大台ヶ原登録ガイドや自然再生に詳しい特別講師による、ひと味違う大台ヶ原を楽しめるガイドウォークです(西大台、東大台、自然再生の3ツアーから選択)。
※公共交通機関の使用による参加が必須です。
詳しくはこちら→ http://vill.kamikitayama.nara.jp/