アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]
神秘の森 荘厳の山 大台ヶ原を歩く
2016年09月20日今年の8月は例年と一味ちがいます。"山の日"が制定され、8月11日が新たな国民の祝日となりました。山の日は「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」ことを趣旨としています。吉野熊野国立公園大台ヶ原地区では、山の日制定と当公園の80周年・拡張を記念して、ガイドウォークイベント"神秘の森 荘厳の山 大台ヶ原を歩く"を7月23日、8月11日に実施し、9月28日にも開催予定です。このイベントでは3つのツアーが同日に行われます。ひとつ目は、地元ガイドが案内する西大台ガイドウォーク。ふたつ目は、地元ガイドが案内する東大台ガイドウォーク。そして、大台ヶ原自然再生推進委員会委員がガイドする自然再生ガイドウォークです。参加者は、事前に申し込んだツアーに分かれて各コースを回ります。今回は、8月11日の山の日に開催された2回目のイベントについて報告します。
今回のイベントでは、全てのツアーが募集定員に達し、一部でキャンセル待ちが出るほどの人気でした。さらに当日は、初の山の日ということもあってか、ツアー参加者以外にもたくさんの方が大台ヶ原を訪れていて、駐車場および周回線歩道は大変な賑わいをみせていました。
西大台ガイドウォークでは、利用者の立ち入りを制限している利用調整地区内のコースを回りました。参加者は、ガイドによる大台ヶ原と地元の人との関わりについての話や動植物の解説に耳を傾けながらブナやウラジロモミの原生的な森林が広がる神秘的な雰囲気を楽しんで下さったようです。
東大台ガイドウォークでは、ビジタ-センターから正木峠を通り、尾鷲辻(おわせつじ)・牛石ヶ原から大蛇嵓(だいじゃぐら)に立ち寄って、中道からビジタ-センターに戻るコースを歩きました。このコースの見所は、なんと言っても大蛇嵓の断崖絶壁です。当日は晴天で見晴らしが良かったため、大蛇嵓から谷をのぞき込んだ参加者はあまりの標高差に足がすくむ方もいたようです。
この日の自然再生ガイドウォークのガイドは、奈良教育大学教授で植物生態学・保全生態学がご専門の松井 淳先生でした。このツアーでは東大台を回りながら、環境省の自然再生の取り組みを松井先生から解説いただきました。参加者は、普段入ることができない防鹿柵の中に入り、柵の内外の植物の生育状況や種類の違いなどを観察していました。
本イベントのもうひとつのお楽しみは、上北山村の地物を使った美味しくて豪華なお弁当です。内容は毎回変わるのですが、今回は、上北山村特産のゐざさ寿司やシカの焼肉、村内で採れたワサビを使った花漬け、イタドリの炒め物などが入っていました。ボリュームもたっぷりで参加者には満足いただけたのではないでしょうか。
このイベントを通して、皆さんがもっと山に親しみ、環境保全に目を向けてもらえれば嬉しく思います。
※ 9月28日開催予定のこのイベントは、ご好評につき、すでに定員に達しました。