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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

アフリカツメガエル

2016年07月21日
田辺 都築真子

 みなさん、こんにちは。今週から小中学校では夏休みが始まりましたね。

梅雨の間、みなさんも耳にされたかと思いますが、窓を開けると雨の音と共に聞こえてくる音といえば・・・カエルの鳴き声ですね。私が地球上で一番苦手な生物です。

 6月に、田辺市の鳥ノ巣半島のため池に生息している外来種『アフリカツメガエル』の現地調査に行ってきました。環境省 田辺自然保護官事務所が地域の自然保全団体とともに行うグリーンワーカー事業の一環です。下の写真がアフリカツメガエルです。かわいいと言われる方も多くいらっしゃるようですが、みなさんはいかがでしょうか?

 アフリカツメガエルは、一生を水中で過ごす生物で、アフリカ中南部原産ですが日本の気候にも適応しており、氷点下にならない限り生きています。

 実験動物やペットのえさとして輸入され現在も流通していますが、日本国内で野生下での定着が確認されているのは、国内では鳥ノ巣半島以外に千葉県の利根川下流域周辺だけです。そのため、詳しい生態はわかっていない状態です。

 当日は、自然環境研究センターの戸田光彦主席研究員を招き、地元の関係者20名程度が集まり防除検討と調査を行いました。

 鳥ノ巣半島は、入り組んだ海岸線に囲まれ、小規模な水田や梅畑、ため池、タブノキやスダジイ等の二次林が点在しており、里地里山の景観が成立している地域です。神社合祀令で有名な南方熊楠ゆかりの神島を眺望できる場所もあります。

 この鳥ノ巣半島で、平成19年に地元の写真家・内山りゅう氏により初めてアフリカツメガエルが確認され、その後、生息場所が広がり、今では半島に37あるため池のうち21箇所でみられるようになりました。水生昆虫などの在来種の捕食といった生態系への影響が心配されています。

 平成26年からは地元の中学校・高等学校の生物部が防除に取り組んでおり、現在までに、約2000匹も捕獲しています。しかし、今回の調査で、息継ぎに上がってくるカエルの成体や幼生(いわゆるオタマジャクシ)が何匹も確認され、夕方に一部のため池に9つのわなを仕掛け、翌朝回収に行くと、約100匹ものカエルが入っていました。

 捕獲したカエルの内容物を調べたところ、驚いたことに胃の中からは同種のカエルがでてきて共食いが確認されました。その他にも、今までに、オタマジャクシやネズミとみられる哺乳類やヤゴ、マツモムシなどの昆虫も見られています。

 

 今後は、戸田主席研究員のアドバイスをもとに、中学校・高等学校の生物部や地元の方々と共に協力し、防除に向けた取り組みを進めていきたいと思っています。そして、私自身も、この機会に、もう少し積極的にカエルに向き合い、カエルを克服して、どんな自然の中でも、どんな生き物でも対応できるアクティブ・レンジャーを目指してがんばりたいと思います。