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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

前鬼・三重滝へ

2016年06月08日
吉野熊野国立公園 青谷 克哉

皐月(6月):大昔、耕作は「さ」と言われていた。故に耕作の時期だから「さ月」。

「皐」の字は、「神に稲を捧げます」という意味なので、この字が使われて「皐月」になったという説があるそうです。実家の周りは田んぼがたくさん、吉野自然保護官事務所の青谷です。


2016年「よしくま」を盛り上げようということで、吉野熊野国立公園吉野自然保護官事務所管内の紹介をさせて頂こうと思います。

今回は、前鬼と三重滝を紹介します。「前鬼」という場所は、奈良県は下北山村にあります。役行者の弟子である2匹の鬼、前鬼(夫)・後鬼(妻)夫婦と子供達が暮らした集落がここだそうです。


それでは早速、三重滝に向かって出発しましょう。

前鬼から閼伽坂峠(あかさかとうげ)を目指して歩いて行きます。峠にはお地蔵様がいらっしゃいますので、山行の安全を祈念し、先に進みます。

峠からは下りの連続の後、垢離取場(こりとりば)に到着です。「垢離(こり)」とは、身についた罪・穢れのことを言います。今でも、行者はここに首まで浸かって心身を清め、行場に向かいます。この日は、カエルのオタマジャクシがたくさんおりました。

垢離取場

オタマジャクシ

垢離取場を渡って(水量注意)山道をゆくと、三重滝(みかさねのたき)に到着です。三つの滝が重なっているので三重滝といい、到着するのはちょうど真ん中の滝である「千手の滝」の直下であり、三つ目の「不動の滝」の落ち口をのぞき込むことができる場所。

千手の滝

この場所の上に「馬頭の滝」があり、三つあわせて「三重滝」です。

この場所は、今でも行場として行者の方々が修行にいらっしゃいます。食べ残しや包み紙等のゴミは持ち帰って頂きますよう、お願い致します。

前鬼~三重滝までの間に、こんなものを見つけました。

オオセンチコガネ

オオセンチコガネ(別名ルリセンチコガネ)です。動物の糞をエサにしている昆虫で、食物連鎖を助ける大切な存在です。吉野熊野国立公園の山野では見かけることが多いのです。

オオセンチコガネは、北は北海道、南は九州と日本中に生息していますが、地域によって体の色が違います。奈良県(紀伊半島)の個体は、写真の様な藍色が多いようです。

続いてはこちら。

ギンリョウソウ

白い姿が美しいギンリョウソウです。菌類にくっつき、そこから栄養をもらいます。時が過ぎるとぼろぼろになり、その見た目から別名ユウレイタケとも言われています。


壮大な滝の絶景、美しい川の景観、様々な動植物たち。初心者向けの場所とは言いがたいですが、一度訪れてみることをお薦めします。

こんな所で、今回はここまで。次回は、どこになるのか?お楽しみに。それでは、また。