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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

冠島に行ってきました【巡視報告】

2016年06月06日
竹野 酒井 良明

皆さんこんにちは、竹野の酒井です。

5月末に恒例業務となっている冠島の調査に泊まりがけで同行してきましたので、

今回はその様子をお伝えいたします。


まず冠島とはどんな島か?というところからお伝えしたいと思います。

冠島・沓島は京都府舞鶴市の沖にある小さな二つの無人島で、国の天然記念物である海鳥

「オオミズナギドリ」の繁殖地として国指定鳥獣保護区に指定されている島です。


普段は上陸禁止の島ですが、年に2回のオオミズナギドリ繁殖調査の際には、許可を受けた人に限り上陸することができます。

今回は繁殖調査の前期分にあたる冠島調査研究会の調査に同行してきました。

昨年参加したときは後期調査、つまりオオミズナギドリの子育て時期でしたが、

今年はつがいを作る期間、つまりオオミズナギドリの恋の時期の調査です。


舞鶴の桟橋から海上自衛隊の船に乗り込み、冠島へ出発します。おおよそ二時間半程度で船旅を終え上陸し、野営地を設置します。その後標柱のチェックを行います。



標柱とは何かと申しますと・・・

島内の海岸にある、この島が国指定鳥獣保護区であることを示す柱看板の事です。

この標柱がしっかりと立っているか、痛んでいないかの確認を行います。

日本海沿岸にお住まいの方ならお分かりになるかと思いますが、

冬の日本海沿岸は潮気のまざった風、波がとても強い土地です。

土地柄、海岸の側にある、ありとあらゆる物が痛みやすい環境ですので年に2回のチェックとメンテナンスは欠かせません。


ちなみに、その他のお昼の作業は島内を巡視する程度です。

と、言うのも、オオミズナギドリは昼は海で餌をとりに行き、夜、島に戻ってくる鳥です。

そのためお昼の時間、オオミズナギドリは殆ど島にいないのです。

調査は夕方から明け方に行われ、昼夜逆転生活を送ることになりますので、お昼の時間の多くは調査員の睡眠時間にあてられます。


夜になると、あたりは帰ってきたオオミズナギドリでギャアギャアとうるさくなり・・・

このようにオオミズナギドリがあたりをうろうろし始めます


ちなみにどの程度、オオミズナギドリがいるかというと・・・

このぐらい一面にオオミズナギドリがいる光景は全く珍しくないと思うレベルです。


オオミズナギドリをアップで撮ってみるとこの通りです。左にある穴はオオミズナギドリの巣穴です。

ちなみにこの個体はライトで照らしたら隠れてしまいました。


・・・ここまで見事な「頭隠して尻隠さず」は久々に見ました・・・。


さて、そんなオオミズナギドリを見つつ、調査員の方々とあたりを歩いているオオミズナギドリを捕まえて金属製の足輪のチェックをしていきます。足輪のついていない個体については足輪の装着をしていきます。

夜の調査はこれを繰り返しますが、明け方の調査ではそうした足輪の確認と同時にオオミズナギドリの鳥の飛び立ち数、雌雄が分かる個体ならば、重さや体長、嘴長などもはかります。

これを三日間繰り返し、島での調査は終了となります。


次回は夏調査、春と比べてどう変化したか、どう変化するのか、楽しみです。