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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

研修

2014年12月03日
神戸
 みなさんこんにちは。
 日が沈むのが早くなり、あっという間に年末の雰囲気が漂ってきましたね。
また、この時期ならではの生き物も見られるようになりました。越冬のため、やってくる冬鳥たちです。今回は冬鳥の中でも主にカモ類の識別研修に参加してきましたので、その様子をお届けします。

 なぜカモ類の識別研修??と思う方もいらっしゃるかと思いますが、実は鳥インフルエンザに関係します。最近、国内でも鳥インフルエンザに感染した個体が見つかったとニュースで報じられていますが、その感染リスクの高い種の多くが冬場に渡ってくる鳥たちです。
 環境省では、渡り鳥の飛来経路や飛来状況の把握や野生鳥獣の感染症の情報を収集し、高病原性鳥インフルエンザの発生抑制と、被害の最小化に努めています。そのため生息状況調査や死亡個体のウィルス保有状況の調査、糞便の採集調査を行っています。その調査を円滑に進めるため、定期的に野鳥の識別研修や、簡易検査キットを用いた鳥インフルエンザ検査の研修を行っています。

 まずは識別研修について。
今回の研修対象であるカモ類の識別に重要な部位は
①翼鏡(羽を広げたとき、一番胴体に近い尾羽側の部分)
②頭部の色
③後趾(脚の後ろ側のちょびっと出ている指のような部分)

【翼鏡(紫色の部分)】


【研修で利用した剥製】


【後趾】

 水にぷかぷか浮いているカモたちを①③で識別するのは至難の業。色彩の華やかなオスはまだしも、②だけでメスを識別するのも難しい・・・。普段からよく野鳥を観察しなければぱっと見ただけで判断することは難しいと感じましたが、この識別ポイントを押さえておけば、死亡個体の判別をする際や写真を撮る際に役立ちます。この研修を行った琵琶湖水鳥湿地センター付近にも、たくさんのカモ類をはじめ、コハクチョウなど、多くの種が羽を休めていました。

 次に簡易検査キットを用いた検査の研修。
 簡易キットでの検査は、まずサンプルを取らねばなりません。長い綿棒のようなものを使い、口腔内と総排泄孔をそれぞれ拭うことで、サンプルをとります。もちろん、生きている個体の場合は嫌がりますので、保定をしつつさっと採りたいところですが、なかなかうまくいかず、検体(今回はハト)がおえっとなったり、暴れたりします。保定方法や、サンプルを採取する際の注意点を聞きながら作業を進めました。

【ハトの口腔内からサンプルを採取】


【簡易検査】

 今回のハトたちはすべて陰性でした。
いざという時に、迅速な対応ができるよう研修で学んだことを活かしていきたいと思います。


もしお近くで、多数の野鳥が死亡しているのを発見したら!?
↓↓↓
http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/bird_flu/manual/20101204.pdf
(野鳥との接し方について)
http://www.env.go.jp/press/files/jp/5373.pdf
(鳥インフルエンザについて)

 だんだん寒さがこたえる時期になってきましたので、私たちも手洗い・うがいを徹底して風邪などひかないようにしたいものですね。
それではまた!