アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]
東お多福山ガイド養成講座
2014年10月23日
神戸
みなさんこんにちは。朝晩の気温の差が大きくなり、すっかり秋めいてきましたね。油断していると風邪をひいてしまいそうな時期ですが、いかがお過ごしでしょうか?事務所の隣にある公園では、つい先日までオクトーバーフェストが開催されていました。が、気温が低く、お腹が冷えてしまいそうなため、飲みたい気持ちをこらえつつ毎日横目にみながら帰宅していた、神戸の高橋です。
さて、今回は先日東お多福山で開催された、「東お多福山草原生物多様性ガイド養成講座」についてです。突然ですが、みなさんは草原と聞いてどんな様子をイメージしますか??
私は子どもの頃、家のそばにあった「原っぱ(空き地)」が思い浮かびます。昆虫を捕まえたり、カラスノエンドウで笛をつくったり・・・遊具やゲーム機がなくても何時間も遊んでいた記憶があります。残念ながら宅地化が進んだこともあり、近年そういった場所を見ることはほとんどなくなりました。
もっと広い草原で宅地化などされなかった場所はどうなっていくのか・・・といいますと、放置するとどんどん草が多い茂り、そのうちぽつぽつ木が成長し、やがて林へと遷移していきます。昔は山へ柴刈に・・ということで生活の一部として低木が燃料にされ、人の手が入り、結果的に管理されている状態の時代もありました。しかし、そのようなことがなくなった現在、草原は姿を消しつつあります。
自然が豊かな国立公園でも例外ではありません。瀬戸内海国立公園、六甲地域の東お多福山でも、1948年から2007年の間に草原の面積が約9分の1の広さになってしまいました。人の手が入らないと先ほど申し上げたように、草原→林へと遷移が進んでしまうからです。「東お多福山草原保全・再生研究会」では草原本来の植生や生物多様性、またススキ草原の景観を取り戻そうと、ネザサの試験的な刈取りや植生調査を通して保全活動を続けています。この活動が始まる前は、一面背丈以上のネザサに覆われていましたが、刈取りを行うことで地表にまで光が届くようになり、ススキ、リンドウといった草原性植物の生育が確認されるようになりました。
【背丈以上に覆い茂るネザサ】
【ネザサの選択的刈取りが行われた場所は、ススキが増えてきました】
その活動を広く一般の方に知って頂き、活動の輪を広げる人材を育成するために「東お多福山ガイド養成講座」が開かれています。草原の生物多様性保全、環境学習、草原の管理法など実習中心の全5回のプログラムで、今回は受講生が一般の参加者を相手に模擬ガイドを行う現地セミナーでした。(つまり、ガイド養成講座を受講し、初めてのガイドデビュー!!ということになります)東お多福山登山道で見られる植物の解説や、ススキ草原について、また歴史的な話まで、初めてとは思えない落ち着いた様子でしっかりガイドされており、頼もしい限りでした。実際に植物を見て、手で触れ、においをかぎ、全身をつかって情報を吸収していく感じは、子どもの頃に戻ったようで、こちらまで楽しくなりました。
【模擬ガイド】
この日は3週間ぶりに天気に恵まれた週末となり、たくさんの方が登山に訪れていました。また、研究会の活動とともに、その個体数が増えつつあるリンドウやセンブリがあちこちで咲いており、私たちの目を楽しませてくれましたが、昨年は一部の草原性植物が盗掘されるという事件が起こりました。
【リンドウ(左)とセンブリ(右)】
草原性植物もこの場所にあるからこそのものであり、このようなことが以後起きないよう、研究会の活動がされに多くの方に認知され、ハイカー全員で見守っていけるような状態になればよいなと思います。バスで登山口まで行き、そこから登り始めれば、東お多福山山頂まで1時間かかからずに到着できます。行楽シーズンに一度、足を運んでみてはいかがでしょうか。
それではまた!
さて、今回は先日東お多福山で開催された、「東お多福山草原生物多様性ガイド養成講座」についてです。突然ですが、みなさんは草原と聞いてどんな様子をイメージしますか??
私は子どもの頃、家のそばにあった「原っぱ(空き地)」が思い浮かびます。昆虫を捕まえたり、カラスノエンドウで笛をつくったり・・・遊具やゲーム機がなくても何時間も遊んでいた記憶があります。残念ながら宅地化が進んだこともあり、近年そういった場所を見ることはほとんどなくなりました。
もっと広い草原で宅地化などされなかった場所はどうなっていくのか・・・といいますと、放置するとどんどん草が多い茂り、そのうちぽつぽつ木が成長し、やがて林へと遷移していきます。昔は山へ柴刈に・・ということで生活の一部として低木が燃料にされ、人の手が入り、結果的に管理されている状態の時代もありました。しかし、そのようなことがなくなった現在、草原は姿を消しつつあります。
自然が豊かな国立公園でも例外ではありません。瀬戸内海国立公園、六甲地域の東お多福山でも、1948年から2007年の間に草原の面積が約9分の1の広さになってしまいました。人の手が入らないと先ほど申し上げたように、草原→林へと遷移が進んでしまうからです。「東お多福山草原保全・再生研究会」では草原本来の植生や生物多様性、またススキ草原の景観を取り戻そうと、ネザサの試験的な刈取りや植生調査を通して保全活動を続けています。この活動が始まる前は、一面背丈以上のネザサに覆われていましたが、刈取りを行うことで地表にまで光が届くようになり、ススキ、リンドウといった草原性植物の生育が確認されるようになりました。
【背丈以上に覆い茂るネザサ】
【ネザサの選択的刈取りが行われた場所は、ススキが増えてきました】
その活動を広く一般の方に知って頂き、活動の輪を広げる人材を育成するために「東お多福山ガイド養成講座」が開かれています。草原の生物多様性保全、環境学習、草原の管理法など実習中心の全5回のプログラムで、今回は受講生が一般の参加者を相手に模擬ガイドを行う現地セミナーでした。(つまり、ガイド養成講座を受講し、初めてのガイドデビュー!!ということになります)東お多福山登山道で見られる植物の解説や、ススキ草原について、また歴史的な話まで、初めてとは思えない落ち着いた様子でしっかりガイドされており、頼もしい限りでした。実際に植物を見て、手で触れ、においをかぎ、全身をつかって情報を吸収していく感じは、子どもの頃に戻ったようで、こちらまで楽しくなりました。
【模擬ガイド】
この日は3週間ぶりに天気に恵まれた週末となり、たくさんの方が登山に訪れていました。また、研究会の活動とともに、その個体数が増えつつあるリンドウやセンブリがあちこちで咲いており、私たちの目を楽しませてくれましたが、昨年は一部の草原性植物が盗掘されるという事件が起こりました。
【リンドウ(左)とセンブリ(右)】
草原性植物もこの場所にあるからこそのものであり、このようなことが以後起きないよう、研究会の活動がされに多くの方に認知され、ハイカー全員で見守っていけるような状態になればよいなと思います。バスで登山口まで行き、そこから登り始めれば、東お多福山山頂まで1時間かかからずに到着できます。行楽シーズンに一度、足を運んでみてはいかがでしょうか。
それではまた!