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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

フクロウ【動物】

2014年05月28日
竹野
みなさんこんにちは。
竹野の酒井です。
つい先日のことですが珍しい生き物が竹野スノーケルセンターで保護されました。

いつものように竹野スノーケルセンターでの用事を終え、海を見るために更衣室を通過しようとしましたら妙な視線を感じました。ふっと振り返ると・・・




フクロウ(梟)がいました。
昼間のためか非常に眠そうな顔をしています。
まだくちばしが黄色くサイズも小さいため、まだ子供のようです。



真正面から見るとこのような姿です。
結構ずんぐりむっくりとした体をしています。



フクロウの特徴の一つに非常に首の可動範囲が広いことあげられますが、これはそれを示す典型的な写真です。
多くの鳥は目が頭の左右に付いていますが、フクロウは頭の前に二つ付いており、目の付き方は人間と同じです。
そのため、目標との距離を測る力には優れているのですが、視野という面では一歩劣ります。狭い視野を補うため、首の可動域を広くしているようです。

ちなみにこのフクロウは嵐から避難しようと思って木のうろに入り込むはずが、なぜか脱穀機の廃棄ダクトの中に入り込んでしまい、身動きがとれなくなったところを保護した個体であるとのこと。
保護した時点で目立った外傷や衰弱は無かったのですが非常に動きが鈍く、いかにも眠そうだったため、夕方に山に返すまでスノーケルセンターで預かることになったのだとか。
写真を撮っていても、首から下は身じろぎ一つしませんでしたが、その分良く回る首で、更衣室にはいってきた人間を見続けて警戒している姿が印象的でした。

最近ですと、とあるファンタジー映画の影響が強く、かわいい鳥というイメージがついていますが、もともとフクロウという生物は日本ではイメージの悪い生き物であることが多かったようです。
フクロウは昔、母親を食べて育つ鳥ともいわれており「不孝鳥」や「父喰らう」ともいわれ、家父長制を敷く社会では非常に縁起の悪い物とされてきました。
話が逸れますが戦国時代の松永久秀や斎藤道三などの悪名とどろく人物やあくどい手段を多用する人物を梟雄などと呼ぶこともあり、これだけでもフクロウのイメージの悪さが想像できるかと思います。
ただ、面白いのがこのような悪いイメージがあると同時に「福老」等と書いて縁起物扱いすることもあるということです。
なぜ善悪両方のイメージがあるのかは分かりませんが不思議ですね。

ちなみにこのフクロウ、保護した日の夕方には元気に山に帰っていったそうです。

と言ったところで今回はここまで。