アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]
ナルトサワギクを知ろう!
2013年11月11日
神戸
今月の神戸市は六甲山で六甲全山縦走が2回、そして神戸市内でマラソン大会が開催されるので、自分は参加しないにも関わらず何だかせわしない気持ちになっております、神戸自然保護官事務所の多賀です。皆さんの中には上記のイベントに参加されるかたもいらっしゃるのではないでしょうか。
さて、先日洲本市は由良にてナルトサワギクの防除講習会を受けてまいりました。
ナルトサワギク
ナルトサワギクはこのアクティブレンジャー日記で既に何回か紹介されているので、既にご存知の方もいらっしゃるかと思います。「ナルト」とついているので日本の植物のようなイメージがわくかもしれませんが、ナルトサワギクは国外から持ち込まれた外来生物です。遠くマダガスカルの植物で、偶発的に日本に持ち込まれました。1976年にはじめて徳島県鳴門市で確認され、以降近畿県内や鹿児島県、福島県でも存在が確認されています。
ところで、別の土地から持ち込まれた生物を外来生物・外来種等と総称していますが、外来生物であっても気候条件等が合わないためその場に定着しないもの、定着してもそれほど問題にならないもの、そして定着することよって生態系に悪影響を及ぼす恐れがあったり、人の生命や身体に影響を及ぼす可能性があったり、農林水産業へ被害を及ぼすものがあります。このような問題に発展している、あるいは発展しかねない生物に対して、侵入を防ぎ、生息範囲の拡大を止め、被害を減らすための対策をとるために、平成16年より「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」が施行されています。もっと簡潔に外来生物法と呼ばれていることが多いですね。
では、この法律のなかで、ただの外来生物ではなく「特定外来生物」に指定されるとどうなかといいますと・・・。
原則的にその生物に係るあらゆる行為(生きたままの持ち運び、飼育や栽培、保管、輸入や野外へ放つ、植える、あるいは種をまく行為)が禁止されます。違反内容にもよりますが、個人の場合懲役3年以下もしくは300万円以下の罰金、そして法人の場合1億円以下の罰金が課せられる場合があります。それほど特定外来生物というのは危険視されているということですね。
ナルトサワギクもそのように危険視されている特定外来生物に含まれていますが、ではこの可愛らしくて黄色いキク科の植物はどのような危険性を孕んでいるのでしょうか。
第1に、繁殖力が強く他の植物が生息できる場所を奪ってしまいます。第2に、毒性があるため、草食動物が長期間に渡り摂取すると中毒を起こします。人がナルトサワギクを直接食べることは考えにくいですが、家畜が食べて中毒をおこす危険はあるため、畜産業への被害が心配されています。
この厄介者のナルトサワギクは淡路島に点在する瀬戸内海国立公園においても繁殖していることから、今回の講習を受けるに至ったわけです。では、肝心の駆除方法ですが、まず国立公園内では当然除草剤は使用できません。日光を好む植物ですから、ビニールで覆ってしまえば死滅しますが、これは見た目などを考えるとあまり望ましくないですね。となると手段としては、1本1本根元から引き抜くことになります。引き抜いたナルトサワギクは種子が飛散しないようその場で2重にしたビニール袋か、厚めのビニール袋に詰め、袋ごと焼却処分することになります。
講習会では駆除作業の体験も含みましたので、参加者の皆さんとこの地道な駆除作業をしてまいりました。
写真に写っている黄色い花が咲いている植物はは全部ナルトサワギクです。
根元から引き抜くというと大変な作業に思えるかもしれませんが、ありがたいことにナルトサワギクの根は比較的浅く張るため、簡単に引き抜けます。作業の前日に雨がふって地面が柔らかくなっていたのも幸いでした。ひょいひょい抜けるので意外と作業に没頭してしまいます。それこそ軽く汗をかくくらいに・・・。
作業していた時間は30分程度でしたが、それだけでも約50袋が一杯になりました。中々壮観です。
淡路島の南部に広く分布していることを考えると、淡路島から駆除するのは長い道のりになるかと思いますが、徐々に駆除活動の輪が広がればきっと出来るはずだと講師の方はおっしゃっておりました。
今回の日記は長くなりましたね。
それでは皆様、また次回まで☆
さて、先日洲本市は由良にてナルトサワギクの防除講習会を受けてまいりました。
ナルトサワギク
ナルトサワギクはこのアクティブレンジャー日記で既に何回か紹介されているので、既にご存知の方もいらっしゃるかと思います。「ナルト」とついているので日本の植物のようなイメージがわくかもしれませんが、ナルトサワギクは国外から持ち込まれた外来生物です。遠くマダガスカルの植物で、偶発的に日本に持ち込まれました。1976年にはじめて徳島県鳴門市で確認され、以降近畿県内や鹿児島県、福島県でも存在が確認されています。
ところで、別の土地から持ち込まれた生物を外来生物・外来種等と総称していますが、外来生物であっても気候条件等が合わないためその場に定着しないもの、定着してもそれほど問題にならないもの、そして定着することよって生態系に悪影響を及ぼす恐れがあったり、人の生命や身体に影響を及ぼす可能性があったり、農林水産業へ被害を及ぼすものがあります。このような問題に発展している、あるいは発展しかねない生物に対して、侵入を防ぎ、生息範囲の拡大を止め、被害を減らすための対策をとるために、平成16年より「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」が施行されています。もっと簡潔に外来生物法と呼ばれていることが多いですね。
では、この法律のなかで、ただの外来生物ではなく「特定外来生物」に指定されるとどうなかといいますと・・・。
原則的にその生物に係るあらゆる行為(生きたままの持ち運び、飼育や栽培、保管、輸入や野外へ放つ、植える、あるいは種をまく行為)が禁止されます。違反内容にもよりますが、個人の場合懲役3年以下もしくは300万円以下の罰金、そして法人の場合1億円以下の罰金が課せられる場合があります。それほど特定外来生物というのは危険視されているということですね。
ナルトサワギクもそのように危険視されている特定外来生物に含まれていますが、ではこの可愛らしくて黄色いキク科の植物はどのような危険性を孕んでいるのでしょうか。
第1に、繁殖力が強く他の植物が生息できる場所を奪ってしまいます。第2に、毒性があるため、草食動物が長期間に渡り摂取すると中毒を起こします。人がナルトサワギクを直接食べることは考えにくいですが、家畜が食べて中毒をおこす危険はあるため、畜産業への被害が心配されています。
この厄介者のナルトサワギクは淡路島に点在する瀬戸内海国立公園においても繁殖していることから、今回の講習を受けるに至ったわけです。では、肝心の駆除方法ですが、まず国立公園内では当然除草剤は使用できません。日光を好む植物ですから、ビニールで覆ってしまえば死滅しますが、これは見た目などを考えるとあまり望ましくないですね。となると手段としては、1本1本根元から引き抜くことになります。引き抜いたナルトサワギクは種子が飛散しないようその場で2重にしたビニール袋か、厚めのビニール袋に詰め、袋ごと焼却処分することになります。
講習会では駆除作業の体験も含みましたので、参加者の皆さんとこの地道な駆除作業をしてまいりました。
写真に写っている黄色い花が咲いている植物はは全部ナルトサワギクです。
根元から引き抜くというと大変な作業に思えるかもしれませんが、ありがたいことにナルトサワギクの根は比較的浅く張るため、簡単に引き抜けます。作業の前日に雨がふって地面が柔らかくなっていたのも幸いでした。ひょいひょい抜けるので意外と作業に没頭してしまいます。それこそ軽く汗をかくくらいに・・・。
作業していた時間は30分程度でしたが、それだけでも約50袋が一杯になりました。中々壮観です。
淡路島の南部に広く分布していることを考えると、淡路島から駆除するのは長い道のりになるかと思いますが、徐々に駆除活動の輪が広がればきっと出来るはずだと講師の方はおっしゃっておりました。
今回の日記は長くなりましたね。
それでは皆様、また次回まで☆