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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

とりあえずはリムーバーとお湯とお酢【生物】

2013年11月05日
竹野
皆さんこんにちは。
竹野の酒井です。

気がつけばもう今年の残りも二月ほど、そして本格的に季節が冬になったのか寒いですね。最近は汁物や鍋物等の暖かい食事ばかり食べています。
しかし急激に寒くなったため、夏の素麺の束がたっぷり残っており、この寒い時期にいかに素麺を消費しようか頭を悩ませています。

さて、前置きはこの辺にしまして、最近の業務として次年度以降に新規加入されるパークボランティアのための大浦湾における生物解説マニュアルや危険生物一覧表等を作成しています。
そのような業務をしているため、最近アウトドアにおける危険生物に関する本をよく読みます。
読んでいくと竹野でもよく見る生物、今まで竹野ではまず見ることは無かったが、ひょっとしたらいるかもしれない生物や、非常に有名な危険生物だが、まず竹野で見ることは無い生物と、様々な生物が載っており、今まで知らなかった危険生物の詳しい分布や生態が分かり非常に面白いです。
たとえばヒョウモンダコ。対馬海流にのって3年ほど前に竹野スノーケルセンター前の大浦湾にやってきた毒タコです。
基本的には南方の生き物であるため、通常であれば、竹野には流れ着かず、大抵はもっと南で凍死する生物です。
当時の海水温が妙に高かったのか竹野に流れ着いたようで、少々驚きました。
こうした危険生物の発見例は覚えておくことが大事です。
ヒョウモンダコの発見例を覚えていなければ、竹野の海水浴等で来られる利用者の方が、もしヒョウモンダコに噛まれた場合に、迅速な処置ができないかもしれません。
危険生物の情報はかなり重要です。

居るかもしれない危険生物の情報を集めることも大事ですが確実にいる危険生物の情報、対処法を集め、覚えておくことはもっと重要です。

竹野で被害の多い危険生物はこちらのアンドンクラゲでしょうか。


お盆を過ぎてもある程度の水温を保っているところならば本州の北部等を除き、大体全国のどの海岸にも現れるクラゲです。
これが恐ろしいのはかなり強力な毒をもっているところです。
以前見たクラゲ図鑑では日本近海では三本指に入る刺胞毒を持つクラゲと記載されていました。
出てくるのはたいていお盆過ぎなのですが、運が悪いと7月頭等にも出てきたりします。
そして接触して刺されるという事になります。
後はサイズ、触手が大きく長いので、気がつくと触手が引っかかっていたりしてやっかいです。



上の写真のシロガヤなども被害が多いです。
海の中で揺らいでいる鳥の羽のような、海藻のような見た目の非常に綺麗なクラゲです。
ヒドロ虫科の生き物で、刺されると発疹がでて非常にジンジンと痛痒くなります。
たちが悪いのはこのシロガヤ、ちょっとした衝撃で羽が壊れて、毒針を海中にばらまく点にあります。そのばらまかれた毒針に刺されても発疹がでて、痛痒くなります。
またシロガヤを見つけて避けようとフィンで海を蹴ると、その蹴った水流でシロガヤが壊れ毒針を海中にばらまくということが結構な頻度でおこります。
ばらまかれるため、下手をすると被害が一人では済まず、グループ全員が被害を受ける可能性もあります。
(実際に私も6月にシロガヤのばらまかれた毒針に刺されました。)

ちなみに、シロガヤは白い羽のようなクラゲですが、これが黒くなるとクロガヤというクラゲになります。こちらも有毒です。海の中で羽のような形の海藻を見つけたら、ハネガヤ科というクラゲの仲間だと思ってほぼ間違いありません。水中では羽に近づかないようにして下さい。


他に被害が多いものとしては下の写真のオコゼの被害でしょうか。


裸足で海に入り、うっかりオコゼを踏んづけてしまうでことや、岩に手をついた時にいたオコゼに触ってしまうために棘が刺さってしまうことがほとんどです。
基本的にスノーケル、磯観察中はブーツ等を履いているためうっかり踏んづけてることはまず無いのですが、海中で手をついた際にごくまれに刺さることがあります。

一般的に有名な危険生物としては、アンボイナガイやウミヘビ、ハブクラゲやモンハナシャコ等がいますが、ずっと南方で棲息しているため竹野にはそれらの生物はいません。
熊野の鎌田アクティブレンジャーが駆除作業を行っているオニヒトデは、本州では黒潮が直撃する緯度の低いところで繁殖しているようですので同じく竹野にはいませんし、磯観察の厄介者、ガンガゼもほとんど見ることはありません。(10月ぐらいに少しだけ出ますが)
普段のパークボランティア活動は海域で行われますので、陸域のツタウルシやイラクサ等の生物に対して通常のパークボランティア活動ではそこまで気を配る必要はありません(陸域の活動の場合はまた別ですが・・・)
とはいえ気を抜くと危険ですが。

皆さんも今回の記事を来年の海水浴、スノーケルシーズンまでぜひ覚えておいて下さい。