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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

意外に多い遭難!?

2013年09月27日
神戸
お彼岸も過ぎて涼しくなり、日が昇れば夏を惜しむかのように鳴いていたツクツクボウシの鳴声も聞こえなくなりましたね。もうすっかり秋の気配がしております。秋というと真っ先に食欲の秋が浮かぶ、神戸自然保護官事務所の多賀です。皆様は何が思い浮かぶのでしょうか。

先日、兵庫県山岳連盟の皆様の「自然観察山歩」に同行させて頂きました。この日はまだまだ日差しも強く、本当に9月後半に入ったのかしらと少々汗を流しつつ尾根を登る山行でした。



尾根を歩く

今回の山歩きでは読図についての講義も含まれており、同行していて大変勉強になりました。例えば、講義の先生曰く・・・

「包丁とまな板があっても、練習なしでは包丁さばきがうまくならないのと同じで、コンパスと地図も練習しなければ使えません。」



地形図とコンパスの説明中

なるほど。
地形図が読めなくても、コンパスの使い方が分からなくても、最近は携帯のGPS機能で自分の位置や方角が分かってしまいますが、やはり携帯は電波が届かない場所や電池切れになることなどがありますので、読図は出来るようになっておきましょう。読図については雑誌の特集や本がありますので、ここでは割愛させて頂きます。練習は、初心者向けのイベントがよく行われていますので、それらに参加されることをお勧めします。



熱心に地形図を覗き込みながら現在地を確認している皆さん

ここでひとつ、先生がおっしゃる道に迷った時の対応を紹介しておきましょう。

分岐点では進む前に一度来た道を振り返ってみて、どこの道を来たのか確認しておく。そしてもしも道が分からなくなったら、自分がどの位置にいたのか分かるところまで戻る。

以上です。特に元の道を戻るというのは大切なことでしょう。道に迷っているときや帰りを急いでいるときは、疲れや焦りから近道をしようとしがちです。しかし、その疲れやあせりから判断を誤って近道のつもりで獣道に入ってしまうことや、全く別の場所に続く道を辿ってしまうことがあります。このようなことにならないためにも、迷ったら戻る勇気です!

これから紅葉が始まれば、紅葉狩りへ山に行かれることも多くなると思います。そのように自然を楽しむために山を訪れる人が増えるのはとてもうれしいことですが、その反面、心配されるのが遭難事故です。

山で遭難といいますとやはり人里はなれた険しい山を想像されるかもしれません。六甲山系は低山ですし、市街地にとても近いので遭難のイメージから遠いでしょう。しかし、兵庫県内での遭難事故はその多くが六甲山系で発生しています。兵庫県警によると、今年の1月~5月までの兵庫県内の遭難事故の約4割超(21件32人)が六甲山系で発生しているそうです。そして六甲山系で一番多い遭難事案は「道迷い」なのです。道迷いも命を危険にさらす遭難ですから、十分に気を付けてください。

それでは皆様、楽しい秋を☆