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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

リアルスイミー【動物】

2013年09月26日
竹野
みなさんこんにちは。
竹野の酒井です。
前回の日記で竹野も涼しくなってきたと書きましたが、あの日記が嘘のように、9月も終わりになろうというのに太陽がじりじりと肌を焼く天気が続いております。

さて、先日、知り合いの小学生と話しており、今でも小学校の国語の教科書には私が小学生の頃から使われていたレオ・レオニ作の絵本「スイミー」が使われているということを知りました。
すごく懐かしい気分になったのと同時に、とある山陰の海の生き物を思い出しましたので、今回はその生き物をご紹介したいと思います。


それがこちら。




ゴンズイ(権瑞)です。

小魚は外敵に襲われた際に食べられる確率を避けるために群れを作りますが、ゴンズイは特にその密度が高く、「ゴンズイ玉」と呼ばれる群れをつくります。
私が初めてゴンズイ玉を発見した時は、「魚の群れを見つけた」という感覚が全く無く、「得体の知れない大きな物を発見した」という感覚でした。
スノーケル中に見られるまとまって動くゴンズイ玉は、まるで一個体の軟体動物のようです。

ちなみに他の魚の群れと比べると・・・





(上:カタクチイワシ 下:スズメダイ)

どちらもかなりの個体数ですが、ゴンズイに比べると群れの密度が小さいことが分かります。
スノーケルで見られるゴンズイ玉の動きは、本当に面白く、そして奇妙です。

ちなみにゴンズイは、スノーケルをする人と釣りをする人とで持つ印象が全く違う魚です。
スノーケルをする人には面白い魚という印象をもたれていますが、釣り人からは蛇蝎のごとく嫌われています。

というのも、ゴンズイは胸ひれと背びれにトゲがあり、大の大人でもちょっと刺されただけで激痛が走って動けなくなるほどの強力な毒を持っています。さらにゴンズイは前述したように群れで移動するため、一匹ゴンズイが釣れると次から次へと毒持ちの危ないゴンズイばかり釣れてしまい、まともに釣りができないという事態が起こるからです。
(ちなみに刺されてしまったときの応急処置は、ゴンズイの毒はオコゼ等と同じく熱に弱いため、熱湯療法が可能です。)

このことから、釣り人に嫌われる代表魚としてあげられることも少なくありません。

ちなみにナマズの仲間なので実は結構美味しいのですが、毒のせいかあまり食べられる事もありません。

ちょっと残念ですね。

是非皆さんも、海に入ってゴンズイの奇妙な群れを探してみてくださいね。だけど、くれぐれも近づきすぎて刺されないように注意して・・・。