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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

盗掘ダメ。ゼッタイ。

2013年08月15日
神戸
お盆も過ぎましたね。皆様はよい休暇を過ごされましたでしょうか。ここ連日の日差しをフル活用し梅干しを完成させましたのでホクホクしております。神戸自然保護官事務所の多賀です。

ホクホクしてはいるのですが、その気持ちに水を差すような出来事が先日ありました。
写真では伝わりにくいかもしれませんが、これ、どうなっているかお分かりでしょうか。



つぼみまでつけていた茎は放置され、地中の株だけ盗られていた盗掘現場ですね。盗られたのはキキョウでした。自生株が減少傾向にあり、現時点では環境省レッドリストの絶滅危惧II類に指定されています。株を持って行かれてしまい、種はもう期待できませんので、来年この場所でキキョウが咲くことは叶わないかもしれません。悪質な行為です。

盗掘現場一帯は、数年にわたってボランティアによって植生の保全と再生の活動が続けられている場所で、このキキョウも誤って手折ったり、傷つけられたりしないようボランティアの方々によって囲いがつけられ、マーキングされていました。それにも拘わらず、何者かが盗っていったのです。

盗掘をした人は、多くの人の努力を踏みにじっていること、これからこの場所を訪れる人たちの楽しみを奪っていることを理解しているのでしょうか。そもそもキキョウは瀬戸内海国立公園特別地域内指定植物に入っており「許可を得なければ採取してはならないもの」となっています。つまりこれは明らかな違法行為です。

1つぐらいなら良いだろうという軽い気持ちかもしれません。ですが、そういう考えを持った人が100人訪れれば100、そして1000人であれば1000、1万人であれば1万なくなり、後には何も残らなくなってしまうのです。

夏休みもまだあります。秋になれば行楽シーズンです。国立公園に限ったことではありませんが、どうか皆様、すべての人たちが自分と同じように自然を楽しめるよう、心遣いを忘れないでください。「とって帰るものは写真と思い出」にしていただくよう、お願い申し上げます。

それでは皆様、また次回まで。