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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

漂着ゴミ観察会!

2013年08月09日
神戸
夏休みも中盤ですね。数々の子供向けの海の自然ふれあいイベントにお呼び頂いており、うれしい反面、海水浴に来られている方々を羨ましげに眺める日々を過ごしております。神戸自然保護官事務所の多賀です。

さて、昨年度はすべて磯の生き物観察会だったのですが、今年は少々趣向を変えまして、たつの市が主催されているイベントを漂着ゴミ観察会にいたしました。場所はたつの市の大浦海水浴場で、国内旅行が盛んだった昭和の頃は海水浴のために訪れた多くの人で賑わっていたそうです。近くは伝統的な町並みとカキで有名な室津ですので、今はカキの養殖が盛んな入江になっています。

さて、そんな大浦海水浴場での漂着ゴミ観察会にあたり、子どもたちに実際にゴミ拾いをしていたのですが、とある質問が飛び込んできて「しまった!」と思いました。

その質問とは・・・


「先生、どれがゴミなん?」


うん、先生はみんなが危険なものを拾わないように、拾ってはいけない物の説明はしたけど、何がゴミかはちゃんと説明していなかったよね。いやむしろ、何がゴミで何がゴミでないのか、初めてゴミひろいをする人には分からないものだということをすっかり失念していましたよ。



ゴミ拾いの様子

ということで、プラスチック容器や袋、発泡スチロールやビニールひもなどを拾って見せて、これらはゴミで、流木や漂着した海藻などはゴミではないことを説明しました。

ところで、この海岸には実に多くの下の写真に写っているようなものが落ちていました。大きさは大体直径1cm、長さはバラバラで、1.5cm程度のものもあれば、10cm以上の長さになる筒状の物体です。




皆さんはこのプラスチックの筒が何に使われるものか分かりますでしょうか?
漁業に携わる方でしたらご存じかもしれませんね。これはカキの養殖に使われるもので、養殖パイプと呼ばれることもあるようです。

卵からふ化したカキの幼生(赤ちゃん)は海中を漂っていますが、じき岩礁などに付着します。この頃に下の図のようにホタテの貝殻を海中に入れておくと、幼生は貝殻に付着します。これを採苗といいます。この採苗のときにホタテの貝殻と貝殻に隙間をあけるために長さ1.5cm程度のパイプが使われるわけです。採苗が終わると、今度は貝殻と貝殻の間隔をより大きく開けるために10cmくらいの長さのパイプが使われます。カキを乗せた一連の貝殻は筏に取り付けられ、カキの成長を待つことになります。




ただ、このときに筏が何らかの原因で破損していますと、貝殻やカキと一緒にパイプが流されてしまい、漂着ゴミとして海岸に漂着します。大浦海水浴場ではカキの養殖がおこなわれていますので、このパイプが多く漂着しているのも道理ですね。

それでは皆様、また次回まで☆