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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

浜甲子園鳥獣保護地区へ

2013年07月03日
神戸
さて、まだ梅雨がつづいておりますね。梅干し漬けを始め、今は天日干しの日を待ち遠しく思っております、神戸自然保護官事務所の多賀です。

前々回の日記は海、前回は山でしたので、今回は海に戻ってみました。以前もご紹介したことがあります、浜甲子園鳥獣保護地区です。ところで、鳥獣保護地区とは鳥獣を保護するために狩猟を禁止している区域ですが、その鳥獣保護地区にはいくつか種類があることをご存知でしょうか。

まず「国指定鳥獣保護区」と「都道府県指定鳥獣保護区」に分かれます。その名の通り、前者は国(環境大臣)が定め、後者は都道府県(都道府県知事)が定めるものです。鳥獣保護区内の中でも「特別保護地区」に指定されている場所では、狩猟の禁止と一定の開発行為などが禁止されています。

浜甲子園鳥獣保護区は、非常に都会に近い場所にあるにもかかわらず、国指定であり特別保護地区も設けられています。多くの渡り鳥が訪れるレアな場所であることが伺えますね。そんなバードパラダイスにてとある6月の日、ボランティア団体(NPO 海浜の自然環境を守る会)による清掃活動に参加いたしました☆

当日現場に訪れると、たくさんの人が!



海岸清掃の様子

ボランティア団体のメンバーの他に、近辺の高校の生徒さん、地元にお住いのご家族など、様々な人が参加されていたようです。ゴミ拾い活動自体は1時間程度でしたが、始終にぎやかで楽しい雰囲気でした。

清掃活動後は現場の保護管理員さんと浜甲子園鳥獣保護区内を見て回ったのですが、この時期は冬鳥が去った後の閑散期でして、留鳥のマガモやウミウの姿と、なぜかまだ渡っていないカモたちが見られました。そんな中で1匹だけなんだか間違い探しのように紛れ込んでしまっている鳥が・・・



画像が小さくて分かり難いかとは思いますが・・・



矢印で示したカモですね。緑と赤の頭に黄色い線がとおる模様が特徴的です。

周りにいるのはスズガモとホシハジロなのですが、その中で1匹だけコガモがぽつんと座り込んでいます。実はこのコガモ、冬季に付近のゴルフ練習場のネットに絡まっていたところを保護されたのですが、保護した時には右翼にケガをしており、もう飛べない状態だったそうです。この写真からは分かりませんが、確かに右翼がだらりと垂れさがっており、動かないようでした。ある程度体力が回復したところで浜甲子園鳥獣保護区に放鳥したところ、元気に海を泳いでエサを取ることは出来きたので、このまま浜甲子園鳥獣保護区に留まることになるだろうとのことです。

この個体はもう2度と仲間たちと海を渡ることは無いのかと思うと、さすがにしんみりしてしまいましたが、せめてコガモが落ち着ける場所があり不幸中の幸いであったと思いたいところです。

それでは皆様、また次回まで☆