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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

人形であることに胸をなで下ろす【イベント】

2013年06月13日
竹野
竹野自然保護官事務所の酒井です。

自然学校シーズンが始まり、毎日のように海に潜っています。
今年度の大浦湾は藻と小アジの群れが非常に多い状況です。

さて、自然学校シーズンが始まる前に、山陰海岸国立公園竹野地区パークボランティア研修会を実施いたしました。
スノーケルやその他自然体験活動を行う上で必要な技術、知識を身につけるための研修会なのです。
突然ですが、スノーケル教室の指導を行う上で最も大事なことは皆さん何だと思いますか。
生き物の知識、水泳の技術、話術、体力等々大事な事はいくつもありますが、最も大事、ということですと私は安全管理技術だと思っております。
事故を起こさない事、起きてしまっても適切な対応を取って傷口を広げない事こそ自然体験活動の指導において最も重要なことです。

パークボランティアさんには毎年、安全のために心肺蘇生法とAEDの扱いを学ぶ救急救命講習と溺者の救助や捜索訓練を行う水上安全研修の2種類の講座を受講して頂いています。今回はその片方、水上安全研修のレポートをさせて頂きたいと思います。

水上安全研修の講師は神戸ライフセービングクラブという神戸須磨海岸を中心に活動しているライフセーバーの皆さんです。
研修の内容としましては人形を要救助者に見立てて、沈んでしまった溺者の捜索から、搬送、心肺蘇生までの一連の流れを演習したのですが・・・・





これを見た瞬間、トラウマになりました。
海に人形が沈んでいるところを見ると、それが人形だと分かっていても肝が冷えます。
このインパクトのおかげで、私は今回の演習の内容がしっかり頭に入りました。
また、演習参加者にはそれぞれにスノーケル教室の「参加者」や「指導者」、「溺者の保護者」、「本部要員」、「たまたま浜に居合わせた海水浴客」といった、「役」のある演習でしたが、PVの皆さんは演技派の方が多く、非常にリアリティあふれる演習となりました。




レスキューチューブという浮き輪兼フロートの使い方や、泳いで疲れてしまった人を岸まで曳航する訓練なども行いました。
レスキューチューブという物はかなりの優れもので、海中で意識のない方でも、このチューブを巻き付けて浮き輪に出来、スノーケル中に疲れた場合はこれに捕まって休むことも出来ます。
あとは海中で見つけたナマコやウミウシ、ウニ、ヒトデといった生き物を子供たちに見せる際に、置き場としても使ったりします。
スノーケル教室でなくてはならない道具の1つですね。


また、手持ちの救助道具がない、体に重りもついていないという状況で偶然沈んでいる溺者に遭遇した場合にどうやって海面まで引き上げるかという訓練も行いました。
ウェットスーツには生地に気泡が含まれているため、ウェットスーツを着た場合は体が浮くようになっています。それをどうやって海底まで行って溺者を引き上げるかという訓練でした。
ちなみにこの写真に写っているのは私です。いつの間に撮られたのでしょうか・・・・


このような訓練が毎年行われ、スノーケル教室の安全が保たれています。
無事故無災害でシーズンが終われば万歳、多くのお客さんに山陰海岸を訪れて頂ければ万々歳です。

皆さんも夏の野外イベントやアクティビティの前に、AED講習等を受けられてみてはいかがでしょうか。