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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

一撃殺虫!!ベイトさん

2013年04月16日
神戸
すっかり暖かくなりましたね。春眠暁を覚えずとはよく言ったもので、朝方ついつい寝過ごしたくなる気持ちと戦う日々を過ごしております。神戸自然保護官事務所の多賀です。皆様はうららかな陽気の中いかがお過ごしでしょうか。

「寝る」といえば、私がまだピチピチの二十歳だった頃、尾瀬の方でボランティアガイドをしていたことがありました。そこで寝泊まりしていた部屋というのが、どこからかハサミムシやムカデがわいて出てきたり天井から落ちてきたりするというスリリングな場所だったのです。寝るときに顔に落ちてきたらイヤだなぁという思いが毎晩一瞬よぎっていたものの、眠気に負けてぐうぐう寝ていたことを思い出します。

あの頃は割と平気だったのですが、今でも出来るかと聞かれると少々自信がないですね。寝室にアリが這っているところも想像すると何だか背筋がゾワゾワします・・・。では、前置きがまたしても長くなりましたが、前回に続き、「アルゼンチンアリ防除」について書いていきたいと思います。

前回の日記では、アルゼンチンアリは外国からやってきた種で、繁殖力が恐ろしく強く、やたら攻撃的な性質を持ち、在来種を脅かすだけでなく、家の中を侵略してくる脅威であることを説明させて頂きました。それでは今回はそのアリをどうやって防除するのかのお話です。

第1のステップは簡単・簡潔です。

アリを持ち込まない、持ち出さない。これにつきます。

かなり単純な事ですが、意外と難しいです。といいますのも、このような小さな生物は土石・材木や園芸植物の中に紛れ込み、運んでいる人がそのことに気づかないことが多いのですね。ですから、既にアルゼンチンアリが定着してしまっている地域では、その存在と対策について周知することが大切になります。

アルゼンチンアリ防除の手引きも参照ください。


http://www.env.go.jp/nature/intro/4control/files/manual_argentine.pdf


ではもしも気づかないうちにアルゼンチンアリが近所に来てしまったら、次はどうするのか。それはやはり早期発見と迅速な対応に限ります。数が少ないうちに一気に叩いてしまうのです。

私達はアルゼンチンアリの被害を抑えるため、ベイト剤と液体殺虫剤の組み合わせでアルゼンチンアリ防除を行っています。ベイトとは英語のbait(エサ)のことです。仕組みはコン○ットと同じで、殺虫効果のあるエサを巣の中まで運んで行ってもらい、巣の中からじわじわ数を減らします。また、液体殺虫剤の方は巣を見つけたらスプレーします。即効性と遅効性の両方から攻めるのですね。



右下の緑色の物体がベイト剤です。左上のタンクには液体殺虫剤が詰まっています。



7歩に1つ置いていきます。夏になったらキツそうな作業です・・・。

ベイト剤は親指ぐらいの大きさでして、これ1つ1つをアルゼンチンアリの活動領域をすっぽり囲うようにチマチマと設置するため、結構な労力になります。完全駆除にはどのくらいかかるのかと問いかけた際に、90%程度減らすのに1年かそれ以上かかるかも、との回答が返ってきました。

広がるのは一瞬だというのに、駆除にはそれほどの労力と時間が必要になるのです。皆様、くれぐれもご注意を!

それではまた次回まで☆