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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

花がでるか?葉がでるか?

2013年03月08日
吉野
みなさん、こんにちは!

最近日中の気温がぐんぐんと上がっており、過ごしやすい気候となってきました。
遠く北海道の地を離れ吉野に来てから早くも1年が過ぎようとしています。1年の経つ早さが年齢を重ねるごとに早くなってきている気がします。
この現象は、10歳の時の1年は人生の10分の1の長さに対し、20歳での1年は人生の20分の1の長さになるため、同じ1年という長さでも分母が大きくなることにより、体感速度が変わるからだそうです。
どうも、理屈っぽい吉野の杉本です。

突然ですがみなさん、冬芽ってご存じでしょうか?
下の写真のような冬期に落葉する木の枝に付いている芽ですね。


ちなみにこの写真の冬芽は吉野自然保護官事務所の玄関先にはえている桜の冬芽です。

私はずっと冬芽とは、春になったら葉になるものだと思っていました。
最近冬芽について調べる機会がありまして、そこで初めて知ったのですが、冬芽は花芽(かが)と葉芽(ようが)とふたつに分類する事ができるそうです。そのふたつの違いはといいますと、読んで字のごとく花になる芽と葉になる芽です。一つの芽から花と葉どちらも出てくるものもあり、それは混芽(こんが)と呼ばれています。

花芽と葉芽の見極めって難しいです。花芽の方が葉芽に比べて太いらしいのですが、いまいち違いが分かりません。
桜の場合、頂芽(ちょうが:枝の先端の芽)はだいたい葉芽だそうです。2番目以降は花芽か葉芽のどちらかだそうです。


2番目以降の冬芽

冬芽について調べる機会といいますのは、「サクラはなぜ春に咲くの?」と、質問を受けたからなんです。
「サクラは春に咲くモノだ!」と認識していたので、「何故春なのか?」なんて考えたこともありませんでした。
まぁ、単純に考えれば、「暖かくなるから」と答えてしまいそうですが、調べてみましたところ、冬の寒さも重要なようです。

サクラは花が散った後、葉の付け根に腋芽(えきが)という小さい芽をつくります。腋芽は花芽もしくは葉芽に生長し、10月頃には蕾(つぼみ)として完成します。しかしまだ咲くことはありません。それは葉っぱの方から「咲くなよ」と命令を下す生長抑制物質が送られていたからなんです(図1参照)。
この生長抑制物質を分解する要素こそ冬の寒さらしいのです。そして春になり、生長抑制物質がなくなった蕾にある程度の気温と水分が与えられることにより、はじめて開花するようです。

そのため、本格的に寒くなる前に小春日和が数日続いても花は咲かないそうです。
狂い咲きという現象もあります。冬など、本来とは違った時期に開花してしまう現象のことです。
狂い咲きは、夏の台風などでサクラの葉が生長抑制物質を花芽に送る前に散ってしまい、春になるまでに暖かい日が数日続いてしまうと起こるそうです。


年間の桜の生長と狂い咲きのメカニズム

厳しい冬を乗り越えた方が、生長抑制物質を完全に分解できるので、春になると一斉に咲き始めるそうです。
今年の冬は昨年よりも暖かかったようなので、満開の時期は昨年よりも遅くなりそうです。
※満開の時期予想は杉本ARが素人知識で適当にやったものなので、必ず当たるという保証はございません。あしからずご了承ください。

終始理屈っぽい日記になってしまいましたね。

といったところで今回はここまで。