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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

フィールドサインと正体不明【動物】

2013年01月28日
竹野
皆さんこんにちは。
竹野の酒井です。

季節は大寒を迎え、暦の上では寒さは折り返し地点を迎えたようです。
とはいえ、折り返し地点を過ぎただけですので、結局の所寒いことに変わりはありませんが。

さて、前置きはこの辺にいたしまして、先日猫崎半島まで巡視に行ってきました。
 その際に見つけた物をいくつかご紹介します。

まずはこちら


ニホンジカ(日本鹿)の角研ぎ跡とテン(貂)の糞です。
シカの角研ぎ跡については賀嶋公園のサクラの木についていました。

シカというのは一年で角が生え替わる生物です。
角が生える時期になると徐々に頭皮の下で角が成長し、角が頭皮にくるまれたような形になります。
十分に角が成長した後シカは木に角をこすりつけて、角をくるんでいる皮を剥いでしまいます。
その角の皮剥ぎに使われた木の樹皮にはこのような傷が残ります。
ちなみに、鹿が樹皮を食べるときは角研ぎとはとは違い、樹皮がこうして繊維状に傷がつくことはなく、食べたところだけ綺麗に削ったような跡になります。

次にテンの糞について見てみましょう。
テンは雑食ですので糞を見てみると植物と動物の未消化物がまざっています。(この写真では何かの種子と鳥の羽根が混ざっています。)
また、テンという生物は縄張りを示すためにこういった岩やベンチといった目立つ場所に”わざわざ”糞をします。
登山中に山の風景や花などを見ようとよく足下を見ずに歩いて行くと踏んづけてしまう糞の代表格です。皆さん山道を歩かれる際はお気をつけて。



こちらはビジョオニグモ(美女鬼蜘蛛)の卵嚢とカワラタケ(瓦茸)。
上の写真の真ん中には白いクモの糸がびっしりとついています。
この葉っぱの裏にはこのクモの卵があります。(ちょっとグロテスクなので写真は載せませんでしたが…)
生物が越冬する方法はいくつかありますが、(冬眠する、暖かい所まで移動するなど)
このクモは卵の状態で冬を越します。冬の間卵のままでいれば、エネルギーも消費せず、食料もいらないという訳です。
生物の仕組みという物は本当によくできていると常々思います。


カワラタケについては写真のベンチをよく見てみると細かい灰色っぽいものがいくつもいくつも生えていることが分かります。
見ての通り小さいキノコですし、毒はありませんが非常に固いキノコですので食べられません。
(ちなみに私は昔、毒キノコではないことを十分に確認してから食べてみたことがあるのですが、非常に固く、鉋くずやコルクの破片をかじっているようなそんな食感でした。また、キノコの素人判断は大変危険です。キノコ狩りや、山野から取ってきたキノコを食べる際はちゃんと専門の方の意見を聞き、それに従いましょう。)
食べられないキノコではありますがこのキノコからは抗がん剤の材料を取る事が出来ます。
地味ですが意外とすごい、そのようなキノコです。




そして今回見つけた一番不思議な物がこちら。
謎のゼリー状の物質です。
落ちていた木の枝でつついて見た所、ゼリー飲料程度の堅さと、唾液程度の粘りを持つ物体であることは分かりましたので、粘菌の変形体ではないかと予想はしています。
ただ、菌類はキノコ以外私の専門外ですので、確証はありません。
もしこれが何であるか分かる方いらっしゃいましたら教えて頂けると助かります。

といったところで今回の日記はこの辺でおしまいにしたいと思います。
それではまた次回。