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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

エコツアーガイドの心得【その他・植物】

2012年06月04日
吉野
みなさんこんにちは!吉野の杉本です。
上北山村が主催する「心の道ウォーク」というイベントで5月31日に又剱山へ、6月1日に行者還岳へ参加者のツアーガイドとして参加してきました。
今振り返ってみると、うまくガイドとしての務めを果たせたかどうかについては微妙なところなんですが・・・

というのも、わたくし、ガイドのお仕事は今回が初めてなのです。
学生時代に、ため池ではしゃぎ回ったり、シカやサルを追いかけてたり、森林ボランティアに参加したりと様々なフィールドを駆け巡ってましたが、一般の方々を相手にフィールドを歩きながら動植物の説明を行うなんてことは未経験でした。加えてわたくし「植物」の名前や特徴に関して言えば素人に毛が生えた程度の知識しかありません。

「この木何の木?」と聞かれても「カエデの仲間ですかね~?」(←曖昧)となってしまうわけです。

この2日間、他のガイドさん達のお話をよく聞いて勉強させていただきました。
豊富な知識ももちろんですが、それよりも参加者のみなさんの興味を惹くことの方がガイドにとって大切なんだなと思いました。そして、話し方は説明や解説ではなくてお話なんですね。ただただ、あーだこーだしゃべるのではなく、物語を話すかのような口調とロジックが参加者の興味を惹かせるコツなんだと感じました。

ホオノキの説明一つとっても、「ホオノキは落葉高木でモクレン科に属し、葉は日本の木本の中では最大級の大きさを誇り、材は他の材に比べて柔らかい。そんな木です。」と言われたところで、なかなか覚えることはできませんよね。
ところが、「ホオの特徴と言ったらなんといっても葉っぱ。大きくておにぎりとか包めそうですよね。「包」装できる木だからホオノキ。今で言うところのサランラップやアルミホイルみたいな用途として使われていました。また木材としても優秀で、柔らかい板なので、まな板などによく使われていました。」と言われると、「ホオ....」と感嘆の声を上げてしまいます。ホオノキだけにね。

ガイドとしてもアクティブレンジャーとしてもまだまだ未熟な私が、初めてのツアーガイドを通して感じたことでした。

もしみなさんがエコツアーなどに参加された場合、どんなツアーガイドさんがいいですか?
きっと人それぞれ、聞きたい話が違ってくると思うんです。動物の話が聞きたいとか、植物の話が聞きたいとか、逆にこんな話をしたいなどなど、少し考えただけでもたくさん出てきます。
ツアー参加者のツボを押さえることも大切になってきますよね。


写真も何もないままだとなんか寂しいので、道中に見つけたおもしろい植物を紹介します。

その1 朽ちていて分かりにくいのですが、多分ブナの切り株から生えてきたリョウブ(又剱山で撮影)


はじめ萌芽更新(ほうがこうしん:生きている切り株から木が再び成長を始めること)しているのかと思いきや、別の植物が生えていることから、切り株にリョウブの種がついたんでしょうかね。


その2 ゴヨウマキの幹から生えてきたシャクナゲ(又剣山で撮影)


生き物たちの共生っておもしろいです。こちらもシャクナゲの種が飛んできて実生したのでしょうかね。


その3 尾根部に繁茂するバイケイソウ(行者還岳で撮影)


バイケイソウに関してはこちらの記事の後半をご覧ください。
尾根部の地面って降った雨が流れていってしまうのに、てっぺんなので上から水が流れてくることもなく、日がよく当たるため、乾いた地面になりやすいんです。しかし、バイケイソウって湿潤な地面などに繁殖しやすい植物なのでおもしろいなぁーと眺めていました。それだけ大峯山は雨や霧が多い地域ということなのでしょう。