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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

シュロの花【植物】

2012年05月09日
吉野
みなさん、こんにちは!吉野自然保護官事務所(大峯地区担当)の杉本です。
吉野山のサクラもすっかり散ってしまい、今はシャクナゲなどのツツジがキレイな花を咲かせています。

吉野自然保護官事務所の近くにはシュロの木があるのですが、その木にふと目をやるとなんと花が咲いておりました。
シュロとは、たまに耳にするシュロ縄の原料です。幹から出ている毛を編み込んだ物がシュロ縄になります。シュロ縄は他のロープに比べ水の中でも切れにくく、水回りで使われたりしています。また、明治時代まではたわしの原料(現在はヤシの木)としても使われたりしていたそうです。

国立公園の中でもたまーにシュロの木を見かけたりしますが、多くは集落跡などに生えています。おそらくは当時の生活に必要な資源であったため、半栽培されていたのでしょう。

シュロの花とはなんとも珍しいと思い、写真をパチり。


シュロの木(5月8日撮影)

みなさんはこの写真のどこに花があるかわかりますか?





シュロの花(5月8日撮影)

実はこの魚卵みたいなのが、花なんです。吉野の大台担当小川ARは「おいしそう!」と言っていました。
さきほど珍しいと書きましたが、おそらく今までに見たことがあっても花と認識していなくて、ただ見過ごしていただけかもしれません。なので、本当は珍しくともなんともないかもしれませんね。
この花、これ全体で一つの花ではなく、いくつもの花の集合体なんです。一つ一つの花は写真のようにものすごく小さいのです。


小さな花(5月8日)

シュロは雌雄異株で雄花と雌花を同じに木につけず、別々の木につけます。
写真のように枝から無数の花がついていることを花序(かじょ)と言い、写真に写っている物は、雄花なので雄花序となります。
雄花と雌花の見分け方は、枝が見えなくなるほど数が多いと雄花で、雄花に比べて数が少ないと雌花になります。

また、花をよーく見てみると、雄花の場合花の中には雄しべが3本~6本であるのに対して、雌花は雌しべが1本しか無いので、そこでも判断ができると思います。

普段なにげなく見ている動植物も、少し注意深く見てみるとなかなか楽しい発見があるものですね。