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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

新年度のご挨拶と初巡視【その他】

2012年04月12日
吉野
皆さん、はじめまして。今年4月から吉野自然保護官事務所(大峯地区担当)のアクティブ・レンジャーとして新しく着任致しました杉本 正太(すぎもと しょうた)です。
4月10日のAR日記で小川ARより大峯地区マニアを託されました。元より私も前任の朝倉ARに負けないくらいの大峯地区マニアになりたいと思っています。

初めての奈良での生活ということで、まだ右も左も分からない状態なのですが、これからの生活の中で五感をフルに活かして、吉野熊野国立公園の素晴らしい自然を感じ、またその素晴らしさを皆さんに伝えていきたいと思っています。よろしくお願いします。

吉野も最近は徐々に気温も上がり過ごしやすい気候になってきました。今年の桜の開花は例年よりも少し遅れていたようですが、吉野自然保護官事務所の近くにある、桜の木々もようやくキレイな花を咲かせています。私が越してきた住居の近くにも吉野の桜の名所があり、そろそろ満開の桜が楽しめそうでワクワクしています。

さて、先日4月3日に着任後初めての巡視に行ってきました。巡視は吉野山へ行ったのですが、桜の名所でもある上千本の辺りに吉野水分(よしのみくまり)神社があり、近くを通ると、境内がなんだか賑わっていました。どうやら吉野水分神社では毎年4月3日に御田植祭(おたうえまつり)という、五穀豊穣を祈る祭事が行われているらしく、これは吉野の文化を知るいいチャンスだ!と思い、お祭りを少しだけ見ていくことにしました。

「水分(みくまり)」とは「水を配る」、つまり田畑に必要な水を配ってもらうという意味だそうです。吉野山一帯は年間降雨量が少なく、昔から農業用水を得るために、人々の命を養う水を司るこの吉野水分神社に雨乞いをしており、やがて吉野水分神社は農業を司る神として崇められるようになったそうです。

お祭りでは、翁が拝殿で擬似的に「荒起こし」から「収穫」までの田植えの行程を行います。写真はおそらく「代掻き(しろかき)」をしているところでしょう。


写真:牛を使っての代掻き?(4月3日撮影)

また、この神社は「みくまり」→「みこもり」→「こもり」と転訛して、子守神社とも呼ばれているそうです。お祭りにも子供たちがたくさん来ており、なんだかほっこりした気分になりました。

私が担当する吉野地区と大峯地区は、世界文化遺産にも登録されている紀伊山地の霊場と参詣道の一部です。それに伴い、吉野や大峯には由緒ある深い歴史が刻まれた自然風景が多くあり、文化的・歴史的背景を知ることで、その風景がより一層味わい深くなったりします。まだまだそういった吉野や大峯の文化や歴史に対する知識が乏しいので、よい機会があれば積極的に吸収していこうと思っています。
みなさんも、吉野や大峯にいらっしゃる際は、予備知識を身につけて行くと、何かおもしろい発見があるかもしれませんよ。