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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

何の音? 【植物】

2011年06月16日
吉野
 皆さん、こんにちは。
最近は梅雨らしい雨がしとしと降る日が続いていますね。悪天候で気分も落ち込んでしまいがちですが、皆さんはいかがでしょうか。

 今回は、雨が降ってきそうな曇り空のもとで起こった出来事についてお伝えします。
この出来事に遭ったのは、少し前の6月7日のこと・・・
昼休みに事務所の外に出たところ、事務所前から「パチパチパチ・・・」と何かが弾ける音が。始めは事務所前に植えられているヤマザクラの実が落ちていると思ったのですが、実が落ちるにしては、あまりにも大きな音・・・何か別の生き物か?とも思いましたが、昆虫でこんな音を出すものはいないはず・・・謎は深まるばかりでした。恐る恐る音が出ている方へ近づいてみて、音の正体に気付きました。


写真:左)ヤハズエンドウの若い実 右)熟した実(ともに6月7日撮影)

 何と、音を出していたのは、ヤハズエンドウ(マメ科)でした。ヤハズエンドウは、皆さんが理科の時間に習ったカラスノエンドウと同じもので、路肩や荒れ地など、どこででも見られる植物です。マメ科の植物らしく、鞘に入った実を付けます。上の左の写真はまだ若い実ですが、熟すと右の写真のように黒く硬くなります。この鞘の中に数個の種子が入っています。これがどのように音を出していたかというと・・・


写真:左)種子が飛んだ後の鞘 右)種子が飛ぶ前の鞘の中(ともに6月7日撮影)

上の左の写真を見ていただくと、鞘がねじれているのがお分かりかと思います。右の写真では、中に丸い種子が入っているのが分かります。この鞘がねじれ、中の丸い種子を飛ばしており、この時に「パチパチパチ・・・」と鞘が裂ける音がしていたのです。
この音の正体を見つけたときは、知っているようで知らない世界をのぞき込んだような新鮮な気持ちになりました。梅雨の時期には憂鬱な気持ちになりがちなので、皆さんもこの時期にしか見られない身近な生き物の不思議を見つけてみてはいかがでしょうか。