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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

冬を乗り切る木々 【植物】

2011年03月07日
吉野
 皆さん、こんにちは。
6日の「啓蟄(けいちつ)」を過ぎ、春を待ちわびていた生き物たちが活動を始める時期ですが、吉野ではまた寒い日々に逆戻りしてしまいました。一体いつになったら暖かくなるのでしょう・・・?

 さて今回は、そんな寒い日々を乗り切る木々をご紹介したいと思います。木には、「常緑樹」と「落葉樹」があることは、皆さんご存じかと思います。寒い時期でも常緑樹は青々とした葉を付けていますが、落葉樹はどうなっているのでしょう?

写真:左)冬の落葉樹 右)枝先に肉まん?

 落葉樹は上の写真のように、「冬芽(ふゆめ)」と言われる状態で寒い時期を過ごしています。上の左の写真は、「アカメガシワ(トウダイグサ科)」の冬芽ですが、先端をよく見ると小さな葉がキュッと縮まったような形をしていて、フサフサの毛に覆われています。右の写真は、「ハナミズキ(ミズキ科)」の冬芽です。枝先に肉まん(?)が乗ったような面白い形をしています。落葉樹は寒い時期でも暖かな季節に葉を広げるための準備をしているのです。種類によって冬芽の形は異なるので、よく観察すると、花や葉が無くても種類が分かります。

 冬芽と一緒に観察する楽しいものと言えば・・・

「葉が落ちた跡(葉痕:ようこん)」です。葉痕も種類によって異なるので、冬芽と併せて観察すると種類がより的確に分かります。では、どのように面白いかと言うと・・・

写真:左)人の顔? 右)ヒツジ?サル?

 この写真のように、葉痕は人の顔や動物の顔に見えることがあるのです。左の写真は「ガクアジサイ(ユキノシタ科)」で、人の顔のようにも見えます。右の写真は「オニグルミ(クルミ科)」のもので、ヒツジやサルの顔のように見えます。最近は春の陽気に誘われて散歩に出ても、まだ木々は寒々し姿をしています。そんな時こそ、冬芽を観察してみてはいかがでしょうか。その際には、葉痕も観察して、何の顔に似ているか見てみて下さい。きっと楽しくなると思います。

 最後に、今のサクラの冬芽を紹介します。

写真:吉野自然保護官事務近くのサクラの冬芽(3月7日撮影)
 次第に膨らんできているようですが、まだ花が咲くような気配はありません。今年は暖かくなったり寒くなったりを繰り返しているので、無事に咲いてくれるか心配ですが、今年もまた訪れる人々を楽しませてくれるよう、見守りたいと思います。