アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]
吉野山のサクラ 【植物】
2010年12月06日
吉野
皆さん、こんにちは。
今月で今年もおしまいですね。年々年月の流れを早く感じています。皆さんはいかがでしょうか。
さて今回は、毎年春が待ち遠しくなる(?)吉野山のサクラについてお伝えします。吉野山はサクラの名所として有名ですが、近年「サクラが衰退している」という話が新聞などでも取り上げられています。衰退の原因は、いまだよく分かっていないことも多いのですが・・・
写真:テングス病にかかったシロヤマザクラ(吉野山にて撮影)
写真:ヤドリギに寄生されたシロヤマザクラ(吉野山にて撮影)
この2枚の写真のように、「テングス病」や「ヤドリギの寄生」なども原因のひとつだと言われています。「テングス病」は、細い枝が密生して伸びる樹木の病気で、「天狗の巣のように見える」ため、このように呼ばれているようです。テングス病を発端として他の菌が侵入し、結果的には枯らしてしまうようです。
もうひとつは、「ヤドリギ」です。ヤドリギは名のとおり、樹木に寄生する植物で、樹木から栄養をもらって生活しています。しかし、生きていくための栄養をすべてもらうのではなく、半寄生(※)を行っています。半寄生であっても、テングス病などで弱っていると、ヤドリギの影響で枯らしてしまうのかもしれません。
(※)半寄生とは、宿主から栄養をもらうだけではなく、光合成を行って自らも養分をつくることです。
ヤドリギはブナやエノキなど、サクラ以外の落葉樹にも寄生します。宿主が落葉、ヤドリギが常緑なので、秋から春にかけてはとてもヤドリギの存在が目立ちます。落葉樹が葉を落とす頃になって、「あんなところにヤドリギが!」ということが多々あります。
この他にもサクラが枯れる要因があると思うのですが、サクラの衰退の詳しいメカニズムは分かっていません。しかし、地元の方々をはじめ、様々な人々によって、衰退を防止する取組が活発に行われています(※)。
(※)取組の一部として、2010年5月25日 「グリーンウェイブ【イベント】」をご参照下さい。
(http://kinki.env.go.jp/blog/2010/05/25/index.html)
ヤドリギは冬期の野鳥の貴重な食料になるなど、生態系の中でもきちんと役割を担っています。テングス病やヤドリギが一方的に悪いわけではありません。古来から続く吉野山のサクラを守るためにどのような手を打つべきなのか、物も言わぬ自然環境を相手にものを考えることは、とても難しいことだと感じました。
今月で今年もおしまいですね。年々年月の流れを早く感じています。皆さんはいかがでしょうか。
さて今回は、毎年春が待ち遠しくなる(?)吉野山のサクラについてお伝えします。吉野山はサクラの名所として有名ですが、近年「サクラが衰退している」という話が新聞などでも取り上げられています。衰退の原因は、いまだよく分かっていないことも多いのですが・・・
写真:テングス病にかかったシロヤマザクラ(吉野山にて撮影)
写真:ヤドリギに寄生されたシロヤマザクラ(吉野山にて撮影)
この2枚の写真のように、「テングス病」や「ヤドリギの寄生」なども原因のひとつだと言われています。「テングス病」は、細い枝が密生して伸びる樹木の病気で、「天狗の巣のように見える」ため、このように呼ばれているようです。テングス病を発端として他の菌が侵入し、結果的には枯らしてしまうようです。
もうひとつは、「ヤドリギ」です。ヤドリギは名のとおり、樹木に寄生する植物で、樹木から栄養をもらって生活しています。しかし、生きていくための栄養をすべてもらうのではなく、半寄生(※)を行っています。半寄生であっても、テングス病などで弱っていると、ヤドリギの影響で枯らしてしまうのかもしれません。
(※)半寄生とは、宿主から栄養をもらうだけではなく、光合成を行って自らも養分をつくることです。
ヤドリギはブナやエノキなど、サクラ以外の落葉樹にも寄生します。宿主が落葉、ヤドリギが常緑なので、秋から春にかけてはとてもヤドリギの存在が目立ちます。落葉樹が葉を落とす頃になって、「あんなところにヤドリギが!」ということが多々あります。
この他にもサクラが枯れる要因があると思うのですが、サクラの衰退の詳しいメカニズムは分かっていません。しかし、地元の方々をはじめ、様々な人々によって、衰退を防止する取組が活発に行われています(※)。
(※)取組の一部として、2010年5月25日 「グリーンウェイブ【イベント】」をご参照下さい。
(http://kinki.env.go.jp/blog/2010/05/25/index.html)
ヤドリギは冬期の野鳥の貴重な食料になるなど、生態系の中でもきちんと役割を担っています。テングス病やヤドリギが一方的に悪いわけではありません。古来から続く吉野山のサクラを守るためにどのような手を打つべきなのか、物も言わぬ自然環境を相手にものを考えることは、とても難しいことだと感じました。