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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

旅をするチョウ 【動物】

2010年08月30日
吉野
 皆さん、こんにちは。
暑い日々が続きますが、熱中症などは大丈夫でしょうか。吉野でも、まだまだ暑い日が続きそうです。

 突然ですが、皆さんは「旅をするチョウ」というものをご存じでしょうか。「虫が旅をする???」と不思議に思われるのではないでしょうか。この「旅をするチョウ」は、「アサギマダラ」という名前のチョウです。アサギマダラは春に北上し、秋に南下します。どれだけの距離を移動しているかというと、北は信州付近(長野県など)から南は九州付近(沖縄、石垣島など)まで移動しているのです!!何と!中には、本州から台湾まで約1000㎞も移動した個体もいるようです。人間でも1000㎞の移動は大変ですが、このチョウは風に乗って飛ぶことができるのです。

写真:セイタカアワダチソウで吸蜜するアサギマダラ(マダラチョウ科)のオス(2009年10月13日 吉野山にて撮影)

 アサギマダラは、翅(はね)のつくりが他のチョウと異なっています。普通、チョウの翅は鱗粉(りんぷん)に覆われており、人間が翅を触ると鱗粉が取れてしまいます。しかしアサギマダラの翅は、触ってもほとんど鱗粉が着かず、他のチョウに比べて翅がしっかりしています。長い旅をするために翅のつくりを変えたのかもしれません。

 アサギマダラは、フジバカマやヒヨドリバナなどの白い花が大好きです。秋に山の麓などで白い花に群がる姿を見ることが出来ます。
 白い花が多い場所といえば・・・
 ウツギなど白い花がたくさん咲いている吉野熊野国立公園の大台ヶ原地区、大峯地区でも見ることが出来ます!ほかにも、ニホンジカの影響で広がってきているバイケイソウの花にもやってくることがあるようです。

写真:シロヤシオの葉上で休むアサギマダラのオス(2009年7月23日 行者還岳にて撮影)

 アサギマダラの成虫は白い花を好みますが、幼虫は里山などに生える「キジョラン」や「ガガイモ」などのガガイモ科の植物の葉を食べて成長します(※)。アサギマダラは、まだ解明されていないことが多いチョウですが、山では白い花を見つけて吸蜜し、里山に下りてはガガイモ科の植物に産卵するというように、様々な環境を利用しています。
 このように北から南、高山から里山まで、多様な環境を利用している生き物は、どこか一つの環境が失われると命の危機に追いやられることがあります。皆さんもこの優雅に舞うアサギマダラを通じて生き物が棲む環境や生き物同士の繋がりを観察し、生物多様性について考えみてはいかがでしょうか。
(※)昆虫が食べる植物を草では食草、木では食樹と言います。

写真:アサギマダラの食草ガガイモ(ガガイモ科:写真中央の大きい葉)

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生物多様性センターホームページ
http://www.biodic.go.jp/