近畿地方のアイコン

近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

陀羅尼助 【その他】

2010年06月10日
吉野
 皆さん、こんにちは。
突然ですが、皆さんは「陀羅尼助」というものをご存じでしょうか。
今回は、この「陀羅尼助」についてご紹介したいと思います。

『陀羅尼助』は、「だらにすけ」と読み、和薬の元祖と言われる胃腸薬で、この陀羅尼助にも、大峯と関係が深い「役行者(えんのぎょうじゃ)」が深く関係していると伝えられています。
役行者は、その高弟「前鬼(ぜんき)」と「後鬼(ごき)」の内、「後鬼」に陀羅尼助の製法を伝授したと言われています。「後鬼」の子孫によって繁栄したと言い伝えられている天川村洞川(どろがわ)で陀羅尼助のお店を数多く見られるのはそのためでしょうか(※)。
(※)「前鬼」については、2009年6月2日 「自然と歴史 【利用・施設】」をご参照下さい。
http://kinki.env.go.jp/blog/2009/06/02/index.html

修験の開祖と言われる「役行者」が関係していることもあり、「陀羅尼助」は行者の方々によって日本各地に伝えられていったようです。例えば山陰の「練熊」、四国の「陀羅尼薬」などは、「陀羅尼助」が別名の薬として広がっていったものと言われています。

陀羅尼助は、「キハダ」というミカン科の落葉高木を原料としています。「キハダ」は、『だらにすけは腹よりはまず顔にきき』という川柳があるように、「あまりに苦く、口に入れた途端にまず顔をしかめてしまう」ほど強烈な苦みがあります。私も一度だけ「キハダ」を煮詰めたものをいただいたことがあるのですが、川柳のとおり、顔をしかめてしまいました。しかし、錠剤になってしまえば、陀羅尼助は子どもから大人まで使える万能胃腸薬です。

写真:吉野自然保護官事務所の救急箱にも入っている「陀羅尼助」

 『大峯の山々には古くからの歴史がある』ということはわかっているつもりでしたが、山だけでなく、人々の生活の中にも昔からの知恵や歴史がしっかりと残っているんだなぁ・・・と改めて実感しました。皆さんも吉野町や天川村にいらっしゃった際には、「陀羅尼助」を探してみてはいかがでしょうか。看板やお店の多さに驚くはずです。