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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

蜻蛉の滝よろず観察会 【イベント】

2010年03月18日
吉野
 皆さん、こんにちは。
最近吉野では、朝寒く昼は暖かいとも寒いとも言えない日々が続いています。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。

3月13日に奈良県川上村にある森と水の源流館主催の「吉野川紀の川しらべ隊 蜻蛉(せいれい)の滝よろず観察会」が、川上村にある蜻蛉の滝周辺で「冬越しをしている昆虫の観察」を主なテーマとして行われました。講師は昆虫生態写真家の伊藤ふくおさん、森と水の源流館の木村全邦さんと私の3人で行われました。

観察会が始まって早速、「これ何ですか!?」との声が上がり、参加者の皆さん(大人も子どもも)の観察ぶりに感心してしまいました。

写真:一生懸命昆虫を探す子どもたち(3月13日撮影)

 観察会開始からお昼までの間、テントウムシの仲間やミノムシ、フサヤガ(ガの仲間)など、たくさんの昆虫(昆虫以外も)を観察することができました。見つけたテントウムシの仲間は、枯木の樹皮の裏などで成虫のまま冬を越していました。成虫は寒い冬を乗り越え、春に卵を産みます。

写真:観察した昆虫たち(3月13日撮影)

 お昼からは蜻蛉の滝の周りをぐるりと一周し、森の中での観察を行いました。
午前中に観察した林縁(※1)とは異なり、薄暗い森の中では「オオゴキブリ」や「ショウジョウバカマ」などの生き物たちが潜んでおり、森の「外」と「中」の違いを見ることができました。「ショウジョウバカマ」は4月から5月と春に花を咲かせるのですが、すでに咲いている姿を見て、暖かさを実感しました。ちなみに、「ショウジョウバカマ」は、冬の間「ロゼット(※2)」を形成して過ごしています。
(※1)林縁(りんえん):林の周辺部のこと。林の際(きわ)で、日光が程良く当たる場所は、たくさんの生き物が潜んでいます。
(※2)ロゼット:地面を這うように葉を広げている状態のこと。タンポポなども冬はロゼットを形成しています。タンポポは常にロゼットを形成していますが、冬が一番分かりやすい形をしています。ロゼットを形成することで、エネルギーを節約して、冬の寒さに備えているのでしょうか。

写真:森の中でひっそりと咲くショウジョウバカマ(ユリ科)(3月13日撮影)

今回の観察会を通じ、生き物の寒い冬に耐えるための工夫や冬を越す場所、滝や川など水がもたらす恵みについて、楽しみながら考えていただけたと思います。私自身も改めて考えさせられました。

参加していただいた皆さん、伊藤ふくおさん、木村全邦さん、どうもありがとうございました!!