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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

大台ヶ原でのお仕事 【動物】【その他】

2009年12月04日
吉野
 皆さん、こんにちは。
最近の吉野の朝は、晴れる日は冷え込みが激しく、雨の日は暖かい・・・でも雨は嫌だ・・・という複雑な気分になっています。どっちが良いのか悩むところですが、やっぱり晴れの日が清々しくて良いですね!

 今回は、大台ヶ原で12月2日~4日にかけて行った「ニホンジカの個体数調整」についてお話したいと思います。
まず「個体数調整」とは、健全な森林生態系を守るため、ニホンジカの数を適正にしよう!という取組です。大台ヶ原ではニホンジカの数の多さが問題となっています。普通、野生動物を見ることはあまりありませんよね?しかし大台ヶ原では、夜に懐中電灯で辺りを照らすと「ここはサファリパークか!?」と思うほどニホンジカを見ることができます(懐中電灯で照らすと、目が光ります)。

ニホンジカが増え過ぎるとどんな問題が起こるかというと・・・ニホンジカが食べる草(中には貴重な植物も!)が激減したり、樹木の皮剥ぎが増えるといったことが起こります。

では、なぜ増えたかというと・・・このことについては、さまざまな説があります。そのひとつに「狩猟の減少」があります。最近では狩猟をする人が減ってしまい、ニホンジカが増えてきているというものです。そこで、この「個体数調整」では「猟友会」の皆さんに大台ヶ原に入ってもらい、銃とワナを使って昔のようなバランスの良い状態を取り戻すように頑張っています。
私たちは安全対策として、猟銃使用の個体数調整中に大台ヶ原に登山者が入って来ないように、登山ルートがある場所で見張りをする予定でした。
しかし、12月3日は大台ヶ原お得意(?)の雨&霧に見舞われ、中止となってしまいました。

写真:12月3日の大台ヶ原駐車場の様子

また、12月なので気温がとても低いだろうと思い、準備万端で臨んだのですが、大台ヶ原ビジターセンター前に設置してある温度計を見ると!4℃でした。普通なら「寒い」と思う気温ですが、-2℃などの気温を見てきた後では、「今日は暖かいなぁ・・・」と思ってしまいました。

写真:大台ヶ原ビジターセンター前の温度計(12月3日12時頃撮影)

 今回の個体数調整などの取組で、「自然界ではバランスが重要」ということを改めて考えさせられます。「食物連鎖」という言葉がありますが、生き物の間では必ず「食う、食われる」の関係が存在し、その関係は複雑に絡み合っています。ニホンジカでは、「食われる」関係に人間による「狩猟」も関係していたのです。そのことをきちんと認識し、人間とニホンジカや大台ヶ原の自然について今後もしっかりと考えていきたいと思います。

===========お知らせ===========
 大台ヶ原地区担当の青谷ARがお知らせしているように、大台ヶ原では、来年の春までドライブウェイが通行止めとなっています。ご注意下さい。