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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

アリと植物 【動物】【植物】

2009年07月24日
吉野
 皆さん、こんにちは。
最近吉野では蒸し暑い日々が続いています。早く梅雨明けしないかな…と思う今日この頃です。

 さて今回は、蒸し暑い夏にせっせと働く「アリとキリギリス」ならぬ「アリと植物」をご紹介したいと思います。「アリ」は皆さんご存じかと思います。「植物」は、「里地里山」でよく見かける(?)「アカメガシワ」という日当たりが良い場所に生える木です。

 この「アカメガシワ」という木は、花外蜜腺(かがいみつせん)というものを葉に持っています。花外蜜腺とは読んで字のごとく、花以外に蜜が出る部位です。もちろん花も咲かせます。しかし、「アリ」を引き寄せるために、いつも蜜を出しているのです。


写真:(左)アカメガシワ (右)アカメガシワの葉
いつも「アリ」を引き寄せる理由の一つに、自分の葉(アカメガシワの葉)を他の昆虫に食べられないようにするため、「アリ」を用心棒として雇っていると言われています。


写真:アカメガシワの葉(赤い矢印は花外蜜腺)と蜜腺に集まるアミメアリ

 「アカメガシワ」と同じように花外蜜腺を持つ植物に、吉野山でも有名な「サクラ」があります。蜜腺の位置は異なりますが、同じように機能しています。

写真:ヤマザクラの花外蜜腺(赤い矢印)

 このように、いつも何気なく見ている昆虫や植物は、深い関わり合いをもっています。生物同士の複雑な関わり合いの中に、「生物多様性(※)」を垣間見ることができます。皆さんの身近なところでも、様々な「生物多様性」が潜んでいるので、ちょっと注意して動物や植物を観察してみてはいかがでしょうか?

(※)生物多様性に関するページはこちら
     http://www.biodic.go.jp/biodiversity/