近畿地方のアイコン

近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

2008年から2009年へ

2008年12月26日
吉野
過去から現在へ、刻々と変化を遂げる自然の変化をカメラがとらえていました。
下に掲載した写真は奈良県天川村の弥山周辺を写した上空写真です。
いったいどのような変化を遂げているでしょうか?



撮影日時:1967年


撮影日時:1988年


撮影日時:2001年
※写真は国土地理院によって撮影されたものです。
(協力:NPO森林再生支援センター)

いろいろな変化があると思いますが、特に目立つのが白いラインの数です。
白いラインは斜面の崩壊地です。

1967年は2箇所だった崩壊地は、2001年には数えられる大きいものだけで10箇所にも及んでいます。原因としては、シカの食害の影響を受けて下層植生が衰退し、地盤を支える力が弱くなったからではないかと言われています。
気になる周辺生態系への影響も心配されていて、崩壊地周辺の土壌や樹木は崩れ落ちることや、残されている希少な高山植物への影響も考えられます。河川へ流れ込めば河川生態系への悪影響が心配されます。しかも、今後、その数がさらに増えるのでは・・・ と心配を胸に年を越そうとしています。
環境省では、弥山周辺に植生を守るために柵を設置していて、その中では植生の回復が見られています。それは、植生が回復する環境条件が整い自然治癒力が高まったのだと思います!しかし、柵の中の一部しか保護できていないため大峯地域全体の自然を考えると応急措置にしかすぎません。
大峯山系全域で人の手を借りることなく自然のまま植生の回復が進むという夢は残念ながら来年へ持ち越しです。
変化を遂げる自然。大峯の生態系が悪循環から好循環になる年になるよう、山で起こっている今を多くの人に知ってもらい理解してもらえるよう来年も一層努めていきたいと思っています。来年も応援、どうぞ宜しくお願いします。



弥山周辺の下層植生の様子。
クガイソウ・カラマツソウ・ヒナノウスツボなど今日ではなかなか見られない植物達が花をつける。(写真提供:平恵子さん)
撮影日時:1976年

アクティブ・レンジャー日記[近畿地区]は今年最後になりました。
今年一年、どのような一年でしたでしょうか?
近畿地区の国立公園からさまざまなエピソードが掲載され、地域ごとに特色があるのだな~とつくづく思いました。また、似たような仕事をしているだけに刺激も受けてもいました。(皆さんはどのようにお感じでしたでしょうか?)
国立公園のことやレンジャー&アクティブ・レンジャーのお仕事紹介などを面白くそして出来るだけ分かりやすくお伝えしてきたつもりです。分かりにくいところも多々あったとおもいますが、来年もどうぞご覧下さい。
「日記みたよ~」という声を聞くととても励みになるのでもし現地で見かけたら優しさの一言も是非お願いいたします。それでは皆様、よいお年を!!