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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

サンゴの北限海域【動物】

2008年10月02日
熊野
 熊野では台風15号が通過し、台風一過の天候となっています。それに伴い昨日までの肌寒い気温とは違ってかなり暖かくなり、一気に秋の深まりとはいかないようです。

 先日、三重県熊野市にある二木島海域のサンゴ調査に同行し、スノーケルによる巡視に行って参りました。台風の影響により波が高かったため、外洋に面した海中公園地区での調査は中止となり、二木島湾内のかつて海中公園地区の候補地となった海域での巡視となりました。 

カラフルな魚たち(青い魚はソラスズメダイ、縞模様の魚はオヤビッチャです)

海上からは陸域で規制の厳しい特別保護地区に指定されている楯ヶ崎も展望できます。(こんもりした場所です)
 
 海中では、色鮮やかなソラスズメダイやツノダシ等の魚たちを観察することができましたが、海面からおよそ10m位までを観察するスノーケルでは、残念ながら大きなサンゴは確認できませんでした。串本海中公園センターの方によると、温帯域の浅い海域には海藻が繁茂し、また冬期の海面温度の低下の影響でサンゴは生育しにくいが、水深20m付近の海藻が減り、温度変化も少ない所には生育しているようです。深い潜水が可能なダイビングで調査した同センターの方々の話では、大きなもので1m位のサンゴが見られたようです。
 二木島海域は温帯と亜熱帯の生物が同居し、海藻とサンゴがせめぎあう独特の環境が形成されています。そのため貴重な海域に設けられる国立公園の海中公園地区に指定されています。この様な貴重な海の中を少し垣間見ることができた巡視となりました。