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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

シカの身だしなみ【動物】

2007年11月22日
吉野
こんにちは。2週間ぶりの日記更新ですが、その間に大台ヶ原では広葉樹がすっかり地面に葉を落とし、冬に向けての準備を終わらせようとしています。雪が積もったり、木々に霧氷がついたり、秋から冬へと様変わりしています。

先日、東大台に入り日も暮れかけの頃、立派なオスジカに出会いました。


撮影日時:2007.11.7 
撮影場所:正木ヶ原
全長約1.5m。体毛は黒く(冬毛)存在感がある。

その日の調査も終わりに近づき最後の調査地点へと移動するところで、ふと気づいたら20mくらいの距離にシカが佇んでいました。周りに人がいない静まりかえった中で、オスジカと二人(?)っきり。普段はヒトが近づくと警戒して逃げてしまうのですが、繁殖期だからなのか悠々としていました。
そこで写真を撮るためにじっと観察をしていたら、とてもおもしろい行動をはじめました。

木に向かって角をあげて…

当てるように擦る。
このあと、角の横側を木の幹に数回擦りつけていた。

これは繁殖期のオスの習性で、大台では何種類かの木でこの角研ぎの跡が見られます。一般的にこの角研ぎ行動は、雄同士の闘争に備える意味や、なわばりを示すマーキングの意味、そして角を立派に見せ魅力を高め他の個体にアピールする、いわば身だしなみの意味などを持っているそうです。

その後オスジカはひとしきり角を研いで、近くのササを食べてどこかへと立ち去って行きました。メスの所へ行ったのでしょうか。静かな大台で、「野生」にふれあえた貴重な出会いでした。