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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

ツキヨタケ【植物】

2007年10月05日
吉野
「フィーヨー」昨日の夜、自宅付近の山あいから獣の声が響き渡るように聞こえてきました。物寂しいような声です。10月11月になると、シカは繁殖期(発情期)に入ります。この声は、オスジカがメスや他のオスに存在をアピールするための鳴き声です。自分の住んでいる所と、大型野生動物の住んでいる所が、こんなに近くにあることに驚きと嬉しさを感じました。ちなみに、自宅から30mのところに「熊出没注意」の看板もありますが…。

さて、大台ヶ原では気温が低いためか9月下旬から、夕暮れ時にこの求愛の声が響いており秋も深まっています。秋といえばキノコのおいしい季節ですが、大台にも様々なキノコが顔を出しています。先日ブナの枯れ木に密集するキノコを見つけましたのでご紹介します。

ツキヨタケ(キシメジ科)(撮影:2007.10.3)
密集して発生するのが特徴で、存在感がある。

このツキヨタケ(月夜茸)は、ほとんどがブナの枯死木に生え、見た目はシイタケにそっくりです。しかし猛毒をもっており、日本でいちばん中毒件数の多い毒キノコだそうです。とても珍しい発光性のあるキノコ(といっても、蛍光灯を消したあとのほんのりと青白く光る程度)で、夜間には幻想的な姿を見せてくれるようです。立派なブナの枯れ木に、おびただしいほどのツキヨタケが張り付いている姿は、実に壮観でした。花は少ない時期ですが、このようなキノコを観察しながらハイキングするのもいいかもしれません。