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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

ウミガメパトロール開始!【その他】

2006年05月10日
熊野
 こんにちは。最近の熊野地方のお天気は、雨、雨、雨。こっちの雨はとても強く降るので、あたると痛いんですよ。雨で各地の状況が気になりますが、今のところ問題はないようです。

 さてさて雨の降る中、今週の月曜日に今年初の「車馬等乗り入れ規制パトロール」を実施しました。タイトルの「ウミガメパトロール」はこのパトロールの通称です。ウミガメを見回るパトロールとか、ウミガメに乗ってパトロールだとかではないのであしからず。今日はこのパトロールについてお話しします。

 世界的に個体数が減少傾向にあるウミガメが、産卵のため吉野熊野国立公園である三重県七里御浜(前回紹介した地域です)と和歌山県王子ヶ浜の海岸にやってきます。ウミガメの上陸、産卵、孵化の保護をすることを目的として、平成9年からこの地域は、ウミガメの産卵期である5月から9月までの期間に車やバイク等の乗り入れを規制を行っています。


和歌山県新宮市王子ヶ浜(大浜ともいいます)です。今回の座標位置はここに合わせているので、七里御浜は前回の座標を参考してください。去年この浜にウミガメが32頭上陸し、14頭産卵しました。孵化したウミガメの赤ちゃんは1000頭以上です。


 この乗り入れ規制に伴い、毎月パトロールを実施しています。パトロールは熊野の自然を考える会、新宮市ウミガメを保護する会の方、それから三重県、和歌山県、熊野市、新宮市、御浜町、紀宝町、新宮市等の行政機関と行っています。

 今回のパトロールでは乗り入れている車両は見当たらなかったのですが、浜にわだちの跡が残っている場所が多かったです。しかしわだちの跡はなかなか消えないので、規制前のものであるかも知れません。

 毎年ばらつきがあるのですが、ウミガメの上陸は5月中旬くらいから確認されています。ウミガメは光、音等にとても敏感で、しばらくの間海で陸地の様子を観察し、産卵に適している場所かどうかを見極めています。やっと上陸しても適した産卵場所を見つけられないと海に戻ってしまうし、産卵できてもその上を車等が通ってしまうと卵が踏みつけられ割れてしまいます。


今回発見したわだちの跡です。車が通ると、浜に数百キロの負荷がかかるといいます。その負荷がかかった砂の中で、ウミガメの赤ちゃんは生きられないですよね。


 車やバイクは駐車場に止めて、七里御浜と王子ヶ浜は砂利浜の感覚を足で感じて楽しみましょう!ふくらはぎ、きゅっとあがりますよ。たぶん。