大蛇(だいじゃぐら)は、平坦さが残る牛石ヶ原の西端から、1kmほど離れた東ノ川の谷底に向けて、一気に1,000m高度を下げる岩稜です。上空から見ると、出刃包丁の歯を上にして西へ向け立てたような鋭い地形です。
地質そのものが硬い岩石であることに加え、その中にある割れ目や、そこに起こった激しい浸食(谷頭浸食)などがこの地形をつくり上げたと考えられています。
このような岩稜は氷河の浸食により形成されることがありますが、大蛇のように、谷頭浸食でできた例は少なく、1,000mの高度差を持つ壮大なスケールのものは、非常に珍しいと言えます。
付近には、規模は大蛇に及びませんが、谷頭浸食でできた急斜面が多くみられます。
地質学的な時間のスケールでみると、ここはまさに大台ヶ原が崩れ落ちている最前線なのです。 |