大台ヶ原やその周辺の地質は、砂岩やチャートなどの岩石からできています。これらの岩はいずれも海底でたまったものですが、それぞれ異なる環境で堆積しました。
チャートは、海岸から数百km以上離れた外洋で、海にすむ放散虫や珪藻などの珪質のプランクトンの殻が集積した岩石です。薄い地層ですが非常に長い時間(地質時代)をかけて堆積したもので、ジュラ紀のおよそ1億数千万年の間に堆積したものと考えられています。このチャートの地質が、海洋プレートに乗り、太平洋を北西の方向に向かって年に数cmの速さで長い年月をかけ、少しずつ日本に近づいてきたのです。
砂岩は砂粒が固まってできた岩石で、色々な種類のものがあります。この付近の岩石は、現在紀伊山地などが乗っているユーラシアプレートの下に、海洋プレートが沈み込むことで発生した海底地すべり面に堆積したもので、チャートの上にできたものと考えられています。
このように、気の遠くなるような長い年月をかけて遠くの海の底で堆積し、重なり、移動してきたチャートと砂岩は、千数百万年前にはすでに海から陸になっていたことが、さまざまな調査研究で判明しています