山陰海岸国立公園 浦富
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2016年08月08日【実施報告】ちびっ子砂丘レンジャーへの道・第1回
山陰海岸国立公園 井原早紀
皆さんこんにちは。浦富のアクティブ・レンジャーの井原です。
8月に入り、夏本番! 暑さもますます厳しくなってまいりましたね。
比較的暑さに強い私も、鳥取砂丘の中を巡視すると、定番の梨ソフトクリームと一緒に溶けてしまいそうになります。まさに灼熱。
【夏の鳥取砂丘】 |
しかし、そんな真夏の砂丘の中でも、ちびっ子は元気!!
7月31日(日)に開催された子どもパークレンジャー事業、「ちびっ子砂丘レンジャーへの道」の第1回目にも、元気なちびっ子達がやって来ました!(事業の詳細については7月20日のAR日記をご覧ください!)
第1回目は、砂丘とらっきょうの関係や、砂丘の地形地質・いきものについて学ぼう!というプログラムです。「なぜ鳥取砂丘でらっきょうなの?」と思った方もおられるのではないでしょうか?
実は、らっきょうは、鳥取砂丘のような厳しい環境の砂地でも育てられる数少ない農作物のひとつなのです。だから、鳥取砂丘の周辺に暮らした人々は、戦後、国から払い下げを受けた砂丘地を農地にするために植林し、一生懸命水をやり、試行錯誤しながら、立派な「砂丘らっきょう」というブランドを作り上げたのです!
午前中は、そんならっきょうの歴史を学んだ後、らっきょうの植え付け体験をしました。
【らっきょう農家の方の説明】 | |
らっきょうをまっすぐに植えるのは大変でしたが、力を合わせて目標の範囲を植え付けすることができました。でも、頑張った部分は広い畑のほんの一部。
広大ならっきょう畑を人力で植え付けしている農家の方々の大変さがよく分かりました!
植え付け体験の後は、らっきょうを使った料理づくり体験。
今回は、酢豚と春巻きを作りました。
はじめて使う包丁にドキドキ。 |
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初めて本格的な料理づくりをして、「ぼくでも料理が作れるんだ!」と自信をつけた子も。
とっても美味しいらっきょう料理が完成しました。
腹ごしらえが済んだところで、もちろんちびっ子砂丘レンジャーたちは、砂丘の基本も学びます。午後からは砂丘の中を歩いて、砂丘のでき方や、砂丘のいきものについて学びました。
「砂の温度が60℃になるの!?」「砂丘に土器が落ちているよ!!」と、知らなかった砂丘の一面を知ってみんな大喜び!
アリジゴクを捕まえたり、カワラハンミョウを追いかけたりと、珍しい砂丘のいきものにみんな大興奮!
【アリジゴクを観察中】
たくさん砂丘をかけ回った後は、学んだことや発見したことを絵や写真を使いながら学習シートにまとめました。
「砂丘の火山灰の出ている場所に土器のかけらがあった」
「砂の温度を計った。暑かった」など、思い思いの感想があり、出来上がった学習シートからは子どもたちそれぞれの感動が伝わってきました!
朝から盛りだくさんの一日でしたが、参加してくれた子ども達はいい笑顔で帰っていきました。
子ども達のちびっ子砂丘レンジャーへの道のりは、まだまだ続くので2回目以降も楽しみにしていてくださいね!
2016年07月20日ちびっ子砂丘レンジャーへの道 参加者募集中!
山陰海岸国立公園 浦富 井原早紀
皆さんこんにちは。浦富のアクティブ・レンジャーの井原です。
夏が近づいてくるにつれて、イベントの数も増え、山陰海岸国立公園は夏らしい活気にあふれています!
私の最近の楽しみは、国立公園内にある鳥取砂丘で、毎週金曜日に行われている夕方除草ボランティアに参加することです。
除草ボランティアは、ちょうど日没の時間に終了するのですが、鳥取砂丘のサンセットはとても素晴らしく、日本海に沈むダイナミックな夕陽を眺めることができるんです!
とってもロマンチックですよ♪
【鳥取砂丘の夕陽】
さて、そんな魅力いっぱいの鳥取砂丘で、この夏、環境省子どもパークレンジャー事業として子ども向け自然体験プロジェクトを開催します。
その名は、「 ちびっ子 砂丘レンジャーへの道 」です!
鳥取砂丘は歩いて眺める、という楽しみ方以外にも、たくさんの魅力的なアクティビティや歴史、自然の不思議があるんです!砂丘のいきもの観察や、パラグライダー、らっきょうの植えつけなどのアクティビティを体験しながら、いっぱい楽しんでいっぱい学び、鳥取砂丘のおもしろいひみつをたくさん知っている"ちびっ子砂丘レンジャー"を目指そう! というプロジェクトです。
【パラグライダー】
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【砂丘でのガイドさんによる自然解説】 |
【平成25年度子どもパークレンジャー認定式の様子】 |
夏から秋にかけて、様々な感動的な表情を見せてくれる砂丘で、いつもとはひと味違う体験が盛りだくさんのプログラムとなっています。広い砂丘を思う存分、たっぷり遊びたいお子様はぜひお申込みください☆
夏休みの宿題にもぴったりです!
先着15名となっておりますので、お早めにどうぞ。
詳細はコチラ:http://kinki.env.go.jp/to_2016/post_59.html
チラシ:チラシ.pdf
もしかしたらこの夏、鳥取砂丘にお越しの際は、ちびっ子砂丘レンジャーたちに会えるかも!
2016年07月05日【実施報告】浦富海岸もっとおそうじカヌー!!
山陰海岸国立公園 浦富 井原早紀
皆さんこんにちは。浦富のアクティブ・レンジャーの井原です。雨が多い季節となりましたね。しかし、浦富の海は雨の日でもバツグンの透明度です!
山陰海岸国立公園の浦富海岸は、毎年たくさんのカヌー体験者等が訪れ、その海の透明度や、ダイナミックな地形の景観などを楽しんでいます。
【浦富海岸】
そんな美しい浦富海岸をカヌーを使ってもっと綺麗にしよう!ということで、6月24日(金)に「浦富海岸もっとおそうじカヌー!!」を開催しました。
このイベントは、船では入れない洞窟や、歩いてたどり着くことができない浜の漂着ゴミを、カヌーを体験しながら回収することで、浦富海岸をみんなで「使えば使うほどキレイな場所」にしていくイベントです。
岩美町観光協会、岩美町、鳥取県、環境省の共催で、昨年に引き続き2回目の開催となる今年も、地元のシーカヤック協議会や遊覧船業者、漁協など多くの方々と協力してイベントを行いました。
参加者はボランティアスタッフ等含めて、総勢40名。地元鳥取の方はもちろん、遠くは神奈川県からもご参加いただきました。中には、昨年も参加されたリピーターの方や、昨年は一般参加者で、今年はスタッフとして参加した方などもいらっしゃいました。
さらに今年は、浦富海岸からこの取り組みを広めていけないだろうか、ということで、山陰海岸国立公園の竹野地域のカヌーガイドさんや、隠岐ジオパーク関係者の方々にも参加していただきました。
【開会式】
【準備体操とカヌーこぎ方練習】
カヌー初心者と経験者ごとにグルーブに分かれて、いよいよ海へ出発!ポケットビーチや洞窟の中の安定した場所でカヌーを降りて、おそうじ開始です。
【作業の様子】 |
美しい眺めの浦富海岸ですが、実際に浜に降り立ってみるとやはりゴミはたくさんあります。特に洞窟の奥にはすごい量の漂着ゴミが溜まっており、ゴミ袋が足りなくなってしまいました。
カヌーで回収したゴミは、漁船に積んで漁港へ持ち帰ります。集まったゴミの量は、なんと漁船山盛りに4隻分でした。皆さん一生懸命作業してくださいました。
途中雨が心配でしたが、願いが通じたのか、なんとか小雨で収まり、無事にイベントを終えることができました。
今回のおそうじカヌー!!を通して、観光客や地元の人が楽しみながら環境を保全するイベントが色々な地域に波及し、みんなで綺麗な海を守る取り組みや思いが広がっていけばいいなと思いました。
皆さんの地元でも、おそうじカヌー!!をぜひやってみませんか?
当日の様子は下記リンク先に動画がありますので、ご確認ください♪
http://www.iwamikanko.org/articles/view/288
皆さん、お疲れさまでした!
2016年06月09日【実施報告】第2回オカヒジキもどってこいこいプロジェクト
山陰海岸国立公園 浦富 井原早紀
皆さん、はじめまして! 4月から浦富自然保護官事務所のアクティブ・レンジャーになりました井原早紀(いはら さき)と申します。 浦富自然保護官事務所初のアクティブ・レンジャーとして、これから今まで知られていなかった山陰海岸国立公園の魅力をどんどん発信していきたいと思います! どうぞよろしくお願いいたします。
さて、6月4日(土)に「第2回オカヒジキもどってこいこいプロジェクト」が山陰海岸国立公園熊井浜で開催され、浦富自然保護官事務所もお手伝いしました。
このイベントは、近年熊井浜で繁茂している北アメリカ原産の外来植物であるオニハマダイコンを除去することで、オカヒジキに代表される昔から熊井浜で生きてきた地域特有の在来植物が少しずつ戻ってくるための手助けをするプロジェクトです。
今年は2回目の開催で、昨年に引き続き「いわみガイドクラブ」と「くまやの自然を守る会」の主催で行われました。
【浦富海岸の熊井浜】 |
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【観察の様子】
まず最初に、絵を参考に、3種類の植物を参加者に探してもらい、特徴や違いを見つけてもらいました。
【熊井浜に生育するオカヒジキ・スナビキソウ・オニハマダイコン】
【3つの植物の違いを発表】 オカヒジキ:地面に這って生えている、葉や茎がぷっくりしている、"柔らかいつまようじ" スナビキソウ:葉がザラザラで裏に毛がある、茎が太い、葉が巻いている オニハマダイコン:葉に厚みがありツルツルしている、冷たい、青臭い、上に伸びている |
...といった特徴が出ました!
鳥取県のレッドデータブックで準絶滅危惧(NT)に指定されているスナビキソウは、オニハマダイコンとよく似ているので、間違えて抜かないように葉の特徴などの見分けるポイントを学びました。
【講師:清末先生の解説】
「ただ図鑑で見て学ぶより、直接植物に触れて、自分たちの目で見つけた特徴の方がよく分かるし、覚えやすいね」
3種類の植物それぞれの違いを知り、早速オニハマダイコンの除去と海岸のゴミ拾い作業スタート!
除去したオニハマダイコンの重さと株数を量り、生育しているオカヒジキの株数も数えました。
昨年と比べた結果、
2015年5月30日 今年(2016年6月4日)
オカヒジキ(在来植物) 13株 → 196株
オニハマダイコン(外来植物)64.4㎏ → 21.7㎏(2,284株)
...となりました。昨年と比べて、オニハマダイコンは少なくなり、オカヒジキはたくさん見つかりました。これは活動の効果が出ているのではないでしょうか!
活動の効果が出ているかどうかは、このイベントを継続的に実施して、結果を記録し続けていくことで分かっていくと思います。今後もこうした取り組みを続ける必要があると感じました。
参加者の皆さんとも「来年もまた会いましょうね!」と言って別れました。
熊井浜は、白い砂浜と青い海がとても美しい自然海岸なので、鳥取に来られた際はぜひ立ち寄ってみてください。そして、足元で育っているオカヒジキやスナビキソウを観察してみてくださいね♪
みなさん、こんにちは! 浦富自然保護官事務所 アクティブ・レンンジャーの井原です。
山の木々が少しずつ紅葉し始め、秋が深まってきましたね。
台風や雨が続いた影響か、山陰海岸国立公園内でもあちらこちらでキノコが顔を出しています。なんと砂丘の中にも!!
砂丘キノコでキノコご飯が作れたらいいのにな、と思う今日この頃です。
そんなキノコに紛れて、秋の砂丘にひょこひょこっとちびっ子たちがやって来ました。「ちびっ子砂丘レンジャーへの道」第2回目開催です!
第1回のときと比べて、夏休みの間にみんなこんがり日焼けしていました。新しい仲間も2人加わって、前にも増してみんな楽しそうな様子。本日も絶好調です!
(第1回の詳細については8月8日のAR日記をご覧ください!)
今回、ちびっ子砂丘レンジャーたちは、砂丘の歴史について学習し、砂丘ならではのアクティビティにチャレンジしました。
午前中は砂丘の東側エリアを歩きながら、タイムトラベル!砂丘周辺の地形変化と、人と砂丘が関わってきた歴史について学びました。
【弥長神社】
まず訪れたのが、弥長神社。100段以上もある長い階段を上っていくと、小さな神社があります。
【大きなキノコがたくさん!】
ここでは弥長神社の神様である神功皇后の伝説について学びました。伝説によると、皇后さまが今の鳥取砂丘がある辺りにやって来たときは、この辺りに砂丘は無く、一帯はすべて海だったとか!
弥長神社の建っている山は島だったそうです。神社をお参りして、境内の周りでドングリ拾いをしました。
続いて、ちびっ子砂丘レンジャーたちを待ち構えていたのは...
【一ツ山離水海食洞】
すごいスケールの海食洞!地球が暖かかったおよそ6000年前の縄文時代、この辺りが海だった頃に、波によって削られてできたもので、自然の波の力に驚きます!!
その次に訪れたのは、岩戸地蔵。岩戸地蔵は、海面が高かった時代に、岩に波が当たって穴が空き、その穴の中に後の人々が地蔵を置いてお供えをしてきたものです。江戸時代に描かれた岩戸地蔵の絵と見比べながら、岩戸地蔵が古くから大切にされてきたことを学びました。
時代によって何度も海面の高さが変わり、今の鳥取砂丘や周辺の地形ができていることと、それとともに人も生活の場所を移してきたということが分かりました。
タイムトラベルの後は、砂丘温泉ふれあいランドにて、水質の実験!
砂丘の下から湧き出す温泉は、どんな性質なのか?
普通の水や、コーラ、酢、砂丘のオアシスの水等をリトマス紙に浸して、色の変化を比べながら実験しました。
初めてリトマス紙を使った子が多く、「予想していた結果と全然違った!」「コーラはなぜ甘いのに酸性なの?」「家に帰って、他の液体でも実験したい!」など、大盛り上がりでした。
午後は、砂丘でいよいよサンドボード体験!
サンドボードとは、簡単に言うと、スノーボードの砂バージョン。
こんな急斜面を滑り降ります!皆ドキドキ!!
最初はそりで遊んで、慣れてきた子からサンドボードに挑戦しました。
最初は怖がって全くやりたがらなかった子も、みんなに応援されながら勇気を出して滑って、一度転んでしまえば、2回目からはどんどん楽しそうに滑っていきました。みんな目覚ましい成長ぶりでした!
いっぱい滑って砂まみれになった後は、気づいたことや体験したことを学習シートにまとめました。
「海食洞の中は涼しかった」
「岩の中にお地蔵さまがいてびっくりした」
「サンドボードは出来るか分からなかったけど、やってみたら出来た!」など、今回も色んな発見をして、新たに自信もつけてくれたようです!
ちびっ子砂丘レンジャーたちは、持ち前の好奇心で砂丘のことをたくさん学んで、どんどん成長していきます。
さて、次回は鳥取大学の研究施設 乾燥地研究センターでの農業体験やパラグライダー体験が待っています。
子どもたちのちびっ子砂丘レンジャーへの道、第3回目も乞うご期待です!!