近畿地方のアイコン

近畿地方環境事務所

地域金融機関の経営トップ等への脱炭素関連インタビュー

兵庫県 尼崎市

 
 2022年4月、阪神電気鉄道 株式会社と共同で、阪神タイガースファーム施設の市内移転に伴うゼロカーボンベースボールパークの整備を中心とした提案により、「脱炭素先行地域(環境省)」に選定された兵庫県 尼崎市。同市はこれまでも、エネルギーの地産地消やEVカーシェアの取組など官民連携による脱炭素まちづくりの取組を意欲的に進めています。今回、尼崎信用金庫と連携した取組や、地域金融機関に期待していることなどについて同市の経済観光振興課長及び係長に伺いました。

尼崎信用金庫は事業を進める上で欠かせない、本音で話し合える相手

ー尼崎信用金庫と連携体制が築かれたきっかけと具体的な取組内容についてお聞かせください。

 2010年、尼崎市・尼崎信用金庫を含む6団体が「ECO 未来都市・尼崎」共同宣言を行い、これをきっかけに定期的な意見交換や様々な活動を共同で行うAG6(「ECO未来都市・尼崎」宣言団体)が結成されました。AG6の取組は2023年度に「地域ぐるみでの脱炭素経営支援体制構築モデル事業(環境省)」に採択され、昨年12月には他に類を見ないカーボンニュートラルをテーマにしたオープンファクトリーを実施しました。
 それ以外にも尼崎信用金庫とは兼ねてより連携した取組を進めています。例えば当市ではクリーンセンターで発電した電気の余剰分を市内事業者に販売し、エネルギーの地産地消及び市内事業者の脱炭素経営を促進していますが、この取組でも、参加への呼びかけ等、市内事業者の巻き込みにおいて尼崎信用金庫にご協力いただいています。また、阪神電気鉄道が来年開業する阪神タイガースのファーム施設をゼロカーボンベースボールパークにする取組は、脱炭素先行地域である当市の取組の一環として重要であり、この事業の推進においても尼崎信用金庫との連携が不可欠です。尼崎信用金庫は“何か特定の取組のために連携する”というより、事業を進める際にいつも企画段階から支援していただき、本音での議論・相談ができる心強いパートナーです。

脱炭素には市域外の巻き込みも重要であり、地域金融機関の広域な情報網は魅力的

ー地域金融機関に期待していることは何ですか。

 行政は時代の変化に合わせて予算編成を変更する必要があります。そのため、同じ施策を5年後や10年後も継続できるかどうかは保証できませんので、脱炭素経営が実装段階に入るにつれて、地域金融機関の経営支援や融資がより重要になります。特に、息の長い事業者へのサポートは金融機関ならではの強みであり期待するところです。
 また、当たり前のことかもしれませんが、自治体は市域内の事情に精通していますが、市域外の情報の取得には限界があります。一方、地域金融機関は市域外にも支店を持ち、広範な情報網を有しているのが特徴で、自治体にとっては魅力的です。例えば、今回実施したオープンファクトリーでも、尼崎信用金庫が市外事業者との連携を促進してくれたおかげで、市内事業者とマッチングする機会を創出することができましたし、今後は市域外に規模を拡大して脱炭素を進めていきたいと考えています。自治体と地域金融機関でそれぞれ得意分野が異なるため、お互いの強みを活かしながら事業を進めることが重要です。

徹底的な対話と、共通のゴールの明確化が重要

ー地域金融機関と連携を進めたい自治体へのアドバイスをお願いします。

 事業を進める際、行政と地域金融機関の目的は異なることがあります。そのため、事前に目的の共有と方向性の合意を図り、共通のゴール(目指したい姿)を明確にすることが不可欠です。途中で想定外の問題が発生することはよくありますが、共通のゴールが明確であれば、柔軟に対応することができます。お互いの目的を理解し合うために腹を割って話し合うことが効果的な連携の鍵です。
 また、これは自治体内の話になりますが、経済部と環境部が両輪で脱炭素施策を進めることも大切です。経済部と環境部はそれぞれ異なる専門性を持ち、繋がりがある事業者も異なるため、両部門が協力して取り組むことで、効果的な施策の実現が可能です。当市としてもGXこそが地域の事業者の経済成長の要だと考えておりますので、まだまだ全国的には環境部局が中心で進めている脱炭素分野ですが、今こそ経済部門と両輪で進めていく行政内の体制作りも重要だと思います。

ご紹元元

【本ページに関するお問い合わせ先】
 近畿地方環境事務所 地域脱炭素創生室
 住所:〒530-0042 大阪市北区天満橋1丁目8番75号桜ノ宮合同庁舎4階
 電話番号:06-6881-6511