もともとは国の土地ではなかったの?
A.製紙会社が所有していた土地でしたが、自然保護の観点から国が買い上げ、環境省が管理することになりました。
日本の国立公園は、アメリカやオーストラリアなどのように国立公園の土地すべてを公園専用とすることが難しいため、土地の所有に関わらず指定を行う「地域制自然公園制度」を採用しており、国立公園内にも多くの私有地が含まれています。 昭和40(1964)年、西大台に689haのブナ原生林を所有していた製紙会社が、その内の247haの伐採許可を申請しました。これに対して、研究者、登山者、学生、市民などが「ブナ林を守れ」の運動を起こしました。 これらの運動を受けて、昭和44(1969)年、政府は、ブナ林の土地を、林野庁が国有林として買い上げる方針を立てましたが、市民団体は、政府案では、保護が十分でないとして、保護のための買収を求め、奈良県知事も、厚生大臣(当時)に対し、同様の陳情を行いました。また、昭和47(1972)年、奈良市で開催された第2回全国自然保護大会では、環境庁(当時)長官が出席し、大台ヶ原の保全を図ることを表明しました。 こうした官民一体となった運動の結果、昭和47(1972)年、「特定民有地買上交付地方債元利償還金等補助金交付要綱」が通知され、自然保護のために製紙会社の土地を買い上げることになりました。これは、都道府県に対して買い上げ地方債の発行を認め、国が元利償還金について10分の8~10の補助金を交付するというものです。この予算措置により、昭和49(1974)年および50年に、奈良県が製紙会社の所有地等を買い上げ、その後、昭和59(1984)年および60年に、環境庁(当時)の所管地(814ha)となりました。このことは、地域制自然公園制度(※)を基本としている我が国の国立公園において、初めて国立公園としての自然保護管理や利用調整のみがなされる国立公園専用の地域の誕生となりました。 ※地域性自然公園制度:自然公園のうち土地所有に関わりなく区域が設定される公園制度。国土が狭く、すでに高密度な土地利用が行われているような国で採用される。
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キーワード
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