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近畿地方環境事務所

地域金融機関の経営トップ等への脱炭素関連インタビュー

京都中央信用金庫 理事長 白波瀬 誠

 
 京都府内の中小企業の脱炭素を促進することを目的とした「地域脱炭素・京都コンソーシアム」への参画や、京都ゼロカーボン・フレームワークを活用したサステナビリティ・リンク・ローンに積極的に取り組まれている、京都中央信用金庫 白波瀬 誠 理事長に、脱炭素に関する取組方針や支援策等について伺いました。

人のために役に立てる人に

ー脱炭素の取組を行うことになったきっかけや取組方針についてお聞かせください。

 ベースにあるのは「人のために役に立つ」という精神です。当金庫は2019年にSDGs宣言を行っていますが、その根底にも「誰一人取り残さない」「世界の貧困を救う」という精神があります。
 脱炭素への対応はすでに金融機関人の常識であり、当金庫においても「取引先の脱炭素支援」は使命だと捉えていますが、そうした根本的な考えなしに、形式的にやらされるということでは持続的な取組にはなりません。あくまで「人のために役に立つ」という精神をしっかりと根底に据えて、取引先に対する本業支援や取引先にアドバイスできる人材の育成に力を入れて、取引先と一緒に成長していくということを基本姿勢にしています。
 こうした「人の役に立ちたい」という想いの延長線上に、脱炭素の取組もあると考えています。

本業支援と人的資本経営で、取引先の想いを育てていく

ー現在注力している、取引先や地域に対する脱炭素支援策についてお聞かせください。

 当金庫では、取引先のSDGs宣言をサポートする取組を665件行っています。この取組は、地域の企業の皆様の社会貢献(地域貢献)力向上に繋がり、誰もが安心安全で幸せな生活が実現できる世の中を創造していきたいという想いで支援しています。
 本業支援を通じて分かることですが、規模の大小に関わらず、多くの事業者が様々な形で社会貢献したいという想いをお持ちです。我々がその想いを実現するお手伝いをすることで、社会貢献への想いを育てていくことができると思いますし、そのお手伝いこそが地域金融機関の役目だと思っています。
 また、当金庫で一番大事にしていることは人的資本経営です。取引先のためになることを自ら考えられる人材を育成したいと思っています。例えば、2020年から当金庫独自の企画「リーダー育成プロジェクト」を行っていますが、これはSDGsやGX等をテーマとして、職場単位のチームごとに活動内容を自ら考え成し遂げるもので、リーダー経験を通じて全職員の意識を変え、「やりがい・働きがい・楽しさを感じる職場」を実現することを目的に始めました。また、脱炭素に関するこれからの取組として、脱炭素アドバイザーの資格取得にかかる費用を金庫で負担し、主に営業職員(約700名)の先行取得を目指しています。

豊かな社会を作るために、全職員が「飛躍的な成長」を

ー職員の皆様に対して、期待を込めたメッセージをお願いします。

 皆が「人の役に立つ」という想いで豊かな社会を作っていって欲しいです。これは一人一人が自らやらないと拡がりませんので、自分事として捉えて、周囲に影響を与える人間になってもらいたいです。
 これだけ変化の激しい時代では、目の前のことに一生懸命になるだけではなく、変化を先読みして自らも変わらないといけませんし、そのためには、脱炭素も含めた知識を幅広く身に付けることが大事です。
 全職員に対して「自分の得意分野だけではなく、あらゆる分野でこれまでにない勉強をするように」と言っています。人間は自分の不得意な分野を避けようとしますが、不得意な分野にも対応できるようになれば、自信が付いてさらに挑戦できるようになります。そういう人間にならないと、多様化していく時代の中で、千差万別のニーズに応えていくことができないと思います。
 これは若い職員だけではなく、ベテランの管理者にとっても肝心です。これからの管理者は、現場で先読みをして実績を上げるとともに、マネジメントもしっかりできる、この両立ができないと人は付いてきません。だからこそ、「全職員」の「飛躍的な成長」が大事だと繰り返しているのです。
 もちろん人間ですから、途中で緩んだり、諦めたり、悩んだりすることもあります。そんな時でも、仲間が成長を後押ししてくれる組織を作っていくことが大事だと思っていますので、共に頑張っていきましょう。

ご紹介いただいた先

【本ページに関するお問い合わせ先】
 近畿地方環境事務所 地域脱炭素創生室
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