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近畿地方環境事務所

地域金融機関の経営トップ等への脱炭素関連インタビュー

株式会社 紀陽銀行 取締役頭取 原口 裕之

 
 「銀行をこえる銀行へ」をスローガンに掲げて、取引先や地域のために脱炭素支援の取組を進められている、株式会社 紀陽銀行 原口 裕之 取締役頭取に、脱炭素に関する取組方針や支援策等について伺いました。

和歌山県唯一の地方銀行として、脱炭素に対応する責任がある

ー脱炭素の取組を行うことになったきっかけや取組方針についてお聞かせください。

 和歌山県は気候変動リスクが高い地域です。2011年の夏には長期間台風が停留し、当行の支店においても腰の高さまで浸水するなど、大きな損害を受けました。また2018年には台風21号の影響で、多くの建物が被害を受け、職員の家族含め大変な思いをしております。このように、気候変動リスクは年々高まっていると肌で感じており、ステークホルダーと当行グループ双方にとってのマテリアリティ(重要課題)の一つとして「気候変動への対応」を設定いたしま した。
 また、和歌山県は石油精製や鉄鋼、化学といった重厚長大の事業者が多く、近畿2府4県の中で経済規模あたりのGHG排出量が最も多い地域です。
 このような背景から、我々は和歌山県唯一の地方銀行として、自らが排出するスコープ1、2はもちろんのこと、投融資先の排出量であるスコープ3についても対応していく責任があると考えています。

お客さまの本業支援=銀行の本業

ー現在注力している、取引先や地域に対する脱炭素支援策についてお聞かせください。

 当行は、「銀行をこえる銀行へ」をスローガンに掲げ、地域のリーダーである地元の中堅中小企業に向けた本業支援活動に最も注力しており、地方銀行が将来に渡って力を発揮できる領域だと考えております。
 近年、銀行の仕事は預金業務や融資業務に留まらず、お客さまの課題解決に資する提案や支援に対する期待が拡大しています。まさに「お客さまの本業支援=銀行の本業」となりつつあり、地元地域の脱炭素支援が金融機関の本業となっていく可能性は十分にあると考えております。
 当行の場合、脱炭素を「知る・測る・減らす」の3段階で捉え、事業者と協業した提案活動やビジネスマッチングに取り組んでいますが、自前での脱炭素コンサルティングの展開に向けた検討も進めております。
 地元地域の脱炭素への貢献に加え、持続可能性を高めるためには収益化も非常に重要だと考えており、お客さまの脱炭素への移行に必要な資金供給等、入口から出口まで対応できる地方銀行は、脱炭素に向けて一番大きな役割を担っていると感じています。
 和歌山県はGX実現先進県、脱炭素社会先進県を目指しており、当行も一緒になって取り組むことで、地域の脱炭素に貢献してまいりたいと思います。

地元中小企業の成長が、我々の成長に繋がる

ー職員の皆様に向けたメッセージをお願いします。

 地元中小企業の成長が地域経済の発展、ひいては当行の成長に繋がります。地域経済の持続的な成長無くして、当行のサステナビリティ経営は成立しません。
 カーボンニュートラルの実現に向け、我々がコンサルティングを含めた脱炭素支援・本業支援のレベルを上げていくことは、お客さまである中小企業の持続可能性を高めることに必ず繋がっていきます。
 今後は脱炭素コンサルティングをより前面に押し出した活動を展開していきたいと考えております。研修による職員の育成等、行内の浸透に向けた各種施策を積極的に実施してまいりますので、紀陽フィナンシャルグループ一体となって地域の脱炭素に向けた機運醸成に努めてまいりましょう。

ご紹介いただいた先

【本ページに関するお問い合わせ先】
 近畿地方環境事務所 地域脱炭素創生室
 住所:〒530-0042 大阪市北区天満橋1丁目8番75号桜ノ宮合同庁舎4階
 電話番号:06-6881-6511