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近畿地方環境事務所

地域金融機関の経営トップ等への脱炭素関連インタビュー

株式会社 飯塚製作所

 
 株式会社 飯塚製作所は、精密冷間鍛造部品等の開発及び製造・販売を行う奈良県に所在する事業者です。自社の省エネに加えて、奈良中央信用金庫のちゅうしん地域中小企業助成制度(グッドサポート)を活用して、脱炭素に貢献する次世代自動車市場への新分野展開に取り組んでいる同社の飯塚 智 代表取締役副社長に話を伺いました。

工場周辺の豊かな環境を守りながら、取引上も脱炭素対応を徐々に意識

ー脱炭素や環境を意識し始めたきっかけについてお聞かせください。

 2003年に奈良県の針に工場を新設した際、周辺が自然豊かな環境だったこともあり、この環境を守り続けたいと感じISO14001を取得しました。標高が高い針では冬になると、工場裏の防火水槽には当時は人が乗れるほどの氷が張っていました。しかし、最近では氷が張らないことが増え、地球温暖化を実感しています。
 また、弊社は自動車向けの部品製造を行っており、一部の取引先からは製造におけるCO₂排出量の報告を求められることもあります。弊社はISO14001を取得しているためCO₂排出量は集計しており、さらに昨年は新たにCO₂排出量を可視化するシステムを導入して、現在はスコープ1とスコープ2の可視化を進めています。

事業が軌道に乗るように設備導入の支援以外にも販路開拓等でトータルサポート

ー脱炭素の取組と地域金融機関のサポートについてお聞かせください。

 冷間鍛造はもともとスクラップが少ない加工方法ですが、材料投入が少なければ製鉄所でのCO₂排出量も減るので、スクラップを減らす取組を進めてきました。この取組は現在では定着し、今度は、スコープ2を意識した売上高やプレスワンショットあたりの電気使用量を前年度比以下にするという目標を全社的に掲げ、各部署でも目標を設定し省エネに取り組んでいます。
 また、弊社は開発も行いますが、シミュレーションソフトを活用し、試作用金型の作成数を減らすことによって、効率的な生産を実現しています。また、奈良中央信用金庫の支援により金型のコーティング装置を導入し、再利用可能な金型を作成することで、金型製造のエネルギーを削減しています。
 そして、次世代自動車市場への新分野展開においても、日々の経営相談の中で支店長等からグッドサポートを案内いただきました。グッドサポートでは助成金という金銭的なメリットの他、国の補助金申請や販路開拓など総合的なサポートを受けることができ、非常にありがたいです。
 特に販路開拓の一環として東京で開かれた展示会への出展支援をいただきましたが、多くの反響があり、商談が継続中の案件も複数あります。
 

金融機関や外部からの評価は、脱炭素含め新規事業に取り組む際の自信となる

ー脱炭素に向けて地域金融機関に期待することをお聞かせください。

 中小企業が新しい取組を始める際は、支援に二の足を踏まれることが多いので、地域金融機関には積極的な支援を期待しています。グッドサポートの採択は、外部審査員の評価も経て弊社の取組が認められたことを意味し、自信やモチベーションに繋がりました。
 また、金融機関には支援情報や地域の情報を提供していただきたいです。例えば奈良中央信用金庫が開催する異業種交流会では、地域の他業種の経営者とのディスカッションが新たな発見に繋がります。脱炭素関係でも同様の機会があると嬉しいです。

ご紹介元

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