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近畿地方環境事務所

地域金融機関の経営トップ等への脱炭素関連インタビュー

滋賀県 湖南市

 
 2020年7月にSDGs未来都市(内閣府)、2022年11月に脱炭素先行地域(環境省)に選定され、持続可能なまちづくりや脱炭素分野において意欲的な取組を進める滋賀県 湖南市。同市内を営業エリアとする株式会社 滋賀銀行とは複数の事業において連携体制を築いています。今回、同行と連携に至ったきっかけや、地域金融機関に期待している事などについて、同市環境経済部 環境政策課長、総合政策部 地域創生推進課長に伺いました。

きっかけは自治体地域新電力会社の立ち上げ。滋賀銀行は“地域活性化のためのエネルギー事業”を共に進めるパートナー

ー滋賀銀行と連携体制が築かれたきっかけと具体的な取組についてお聞かせください。

 滋賀銀行と脱炭素の分野で連携させていただくことになったきっかけは、2016年に自治体地域新電力会社「こなんウルトラパワー株式会社」を立ち上げたことです。当時、まだ近畿では自治体地域新電力会社の創設に地域金融機関が出資する事例は少なかったこともあって、市内にある全ての金融機関にお声をかけたのですが、手を挙げて、話を聞いていただけたのが滋賀銀行でした。滋賀銀行の甲西中央支店(市役所の所在エリア)が熱心に本部に話を上げてくださり、スピーディに銀行として出資を決めていただきました。
 また、2019年に同社が自治体地域新電力会社として初めてグリーンボンド(1億1000万円)を発行した際には、滋賀銀行が私募債の形で全額を引き受けてくれました。さらに、2022年に環境省から選定された脱炭素先行地域事業では、こうした取組の積み重ねもあったため、滋賀銀行も自然な流れで共同提案者となっていただきました。まさにこれから2030年に向け、地域での脱炭素事業を共に進めていくことになりますが、当市にとって滋賀銀行は“地域活性化のためのエネルギー事業”を共に進め、自治体地域新電力会社の経営も見てくださるパートナーだと言えます。

シビアな事業性評価と事業者のニーズ把握は自治体には無い強み

ー地域金融機関に期待していることは何ですか。

 自治体は地域の課題を見つけることは得意ですが、どのような事業を行うと継続性があるかといった事業性評価については、金融機関の方がシビアな視点で行われていると思います。また日頃より事業者の経営相談に乗っておられるので、事業者ニーズや経営状況をよく理解されているのも自治体には無い強みだと思います。
 特に当市は工場が多いので、事業者の脱炭素を促進したいと考えていますが、その想いだけではなかなか上手く進まないのが実情です。事業者の方は利益に繋がるかどうかで判断されますので、例えば事業者を訪問する際は、自治体単独ではなく金融機関にも同席いただくなど工夫をしています。金融機関に同席いただいて話をすると、事業者も真剣に聞いてくださいます。
 また最近では、脱炭素の取組を通じた信頼関係を土台として、企業版ふるさと納税の利用拡大に向けて滋賀銀行と連携を始めるなど、他テーマでの連携の可能性も拡がっています。このように、自治体として地域金融機関との連携に期待するところは大きいので、これからもあらゆる金融機関と広く公平にお付き合いさせていただきたいと考えています。

大切なのは支店とのコミュニケーション、行政・民間の性質の違いに対する相互理解

ー地域金融機関と連携を進めたい自治体へのアドバイスをお願いします。

 金融機関と良好な関係を継続して築いていくためには、支店の方との積極的なコミュニケーションが必要だと思います。本部の方と直接やり取りすることもできますが、まずは支店長にご相談するなど、地域の窓口である支店の方と一緒に進めていく気持ちを大切にしています。自治体職員も支店長も数年で人事異動がありますので、異動があっても関係性が壊れないよう普段からコミュニケーションには気を付けています。
 また、行政と民間では考え方や進め方に違いがありますので、その違いを双方が理解して歩み寄ることも重要だと思います。例えば、行政は議会によるチェックのもと、毎年度予算を決定し執行するという仕組みで動いていますが、民間事業者は一定の利益が見込まれるかどうかという基準で動かれています。行政と民間が、双方の性質を理解してwin-winとなるような提案をすることを心掛けることが重要だと思います。

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