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大台ヶ原の概要

大台ヶ原の概要

大台ヶ原は、紀伊半島の東部、奈良県と三重県の県境付近の台高山系南端に位置する高標高の地域で、最も高い日出ヶ岳(標高1,695m)をはじめ、三津河落山や経ヶ峰、堂倉山等のピークに囲まれた地域は、傾斜の緩やかな台地状の地形となっています。この地形は現在のような山地に隆起する以前に生じた準平原が継続して隆起し続けたものであり、非火山性隆起準平原としては日本で希少な地形として注目されています。この台地状の地形の南側には、谷頭浸食により生じた大蛇嵓(だいじゃぐら)千石嵓(せんごくぐら)等の断崖絶壁が見られます。また、紀伊半島の主要な河川である宮川、熊野川、紀ノ川の水源地となっており、それぞれ伊勢湾、熊野灘、紀伊水道に注いでいます。
年間降水量は3,000mm~3,500mmと、屋久島と並ぶ国内有数の多雨地帯となります。これは大台ヶ原が熊野灘に面する南東向きの斜面に位置しており、熊野灘までの距離が約20kmと近く、湿った空気が吹き上げられて標高差1,500mの斜面で冷やされることにより、雲が発生しやすくなっているためです。

大台ヶ原の植生は東大台と西大台に大きく分けることができ、東大台は主にコケモモ-トウヒクラス域に属し、亜高山帯針葉樹林であるトウヒ群落や、正木峠、三津河落山西側の尾根部にはミヤコザサ草地、大蛇嵓などの崖地の尾根部にはコウヤマキ・コメツガ等からなる岩角地植生が主な植生となっています。
また西大台は主にブナクラス域に属し、ヒノキ・ウラジロモミといった針葉樹を交えた太平洋型ブナ林が主な植生となっています。紀伊半島において、コケモモ-トウヒクラス域自然植生は大台ヶ原と大峰山系の稜線部のみに孤立して分布しており、ブナクラス域自然植生は大台ヶ原を含む台高山系や八経ヶ岳を含む大峰山系、護摩壇山周辺等に分布が限られており、貴重な植生となっています。
この地域は1936年(昭和11年)に吉野熊野国立公園に指定され、景観・生物多様性の保全・再生や適正な利用推進等にかかる様々な取組が行われてきました。また、1980年(昭和55年)には大台ヶ原を含む一帯の地域が「大台ヶ原・大峯山・大杉谷生物圏保存地域」として、ユネスコエコパークにも登録されました。
 

コースについて

大台ヶ原は大きく西大台と東大台に分かれています。
西大台は「西大台利用調整地区」となっており、入山には事前の手続きが必要です。詳しくは下記の「利用調整地区」をご確認ください。

大台ヶ原全体マップ

 

東大台の見どころ

◆日出ヶ岳
日出ヶ岳
標高1,695mの大台ヶ原最高峰です。展望台からは大峰山系、台高山系、熊野灘を望むことができます。
条件が揃えば富士山をみることができるかもしれません。
(注)大杉台へ下るルートは滑落事故多発のためご遠慮ください。

◆正木峠
正木峠
広大な丘陵にササ原が広がる峠です。展望デッキからは日出ヶ岳や熊野灘を望むことができます。
所々にみられる立ち枯れした樹木や倒木は、このあたりも森林であったことの名残です。
木道からみえる防鹿柵は、かつての森林を再生させるべく次世代の樹木をニホンジカの食圧から保護するために設置されたものです。
日出ヶ岳から正木峠に続く木道は多くのシロヤシオが生育してトンネルのようになっており、新緑、開花、紅葉と季節に応じた鮮やかな彩りをみることができます。

◆牛石ヶ原
牛石ヶ原
尾鷲辻から大蛇嵓へ向かう道中、ササ原が広がる地点です。かつてこのあたりで護摩行が行われており、そのために切り開かれたことで今もササ原となっていると言われています。
大台ヶ原が国立公園に指定されるよりも以前に設置された神武天皇像や、一本たたらをはじめ様々な伝承が残る牛石などの見どころがあります。

◆大蛇嵓
だいじゃぐら
約800mの断崖絶壁の上にあり、大蛇の背に乗ったようなスリルを味わえます。眼前には大峰山系のパノラマが広がります。新緑や紅葉の頃は前方の不動返しが彩られ、特に美しいです。北西方向には西大台を流れる沢が滝となり、東ノ川として合流する様子をみることができます。

◆シャクナゲ群落~シオカラ谷
大蛇嵓からシオカラ谷に下るルート上にはシャクナゲの群落があり、開花期にはピンク色の花のトンネルを楽しむことができます。さらに下っていくとシオカラ谷に到着します。東大台で唯一、吊橋を渡る区間です。沢沿いに降りて一息つくこともできます。ここから駐車場までは急な登りになりますのでご注意ください。

西大台の見どころ

◆ブナ・ミズナラ林と防鹿柵

西大台はブナやミズナラをはじめとした広葉樹が多く、森林の中を歩くコースです。コース上には防鹿柵の内部に入る地点がいくつかありますが、その中では後継樹となる様々な種類の樹木が生育しており、この地域の多様性の高さを感じることができます。
特に、七ツ池~開拓跡間で立ち入る防鹿柵では、令和3年と平成19年に設置された防鹿柵が隣り合って設置されており、柵の外と合わせてニホンジカによる食圧の影響と、年月を重ねることによる植生の回復状況の違いを比較することができます。

◆ナゴヤ谷
沢沿いに開けた景観を歩くことができる地点です。夏期まではバイケイソウが群生し、それ以降はテンニンソウが群生します。バイケイソウの開花期は7~8月ですが、独特の香りがありますのでご注意ください。
ナゴヤ谷

◆開拓跡
開拓跡
開拓跡と呼ばれるエリアでは、明治時代に何度か開拓が試みられましたが、厳しい自然条件により作物が育たず、頓挫しています。約100年の月日を経て、現在は森林となっています。

◆展望地・ミズナラ巨木
ミズナラ巨木
開拓分岐から逆峠に向かうと、展望地とミズナラの巨木があります。展望地からは東大台の大蛇嵓をみることができます(展望台はありません)。ミズナラの巨木は根元がカボチャのように膨らんでいる部分が特徴で、迫力があります。

入山時の注意マナー

利用のマナー

大台ヶ原は吉野熊野国立公園の特別保護地区に指定されています。美しい自然を守るために以下のマナーを守って登山をお楽しみください。
・動植物の捕獲・採取は禁止されています。生きている動物・植物はもちろん、枯れ枝や落ちている葉も採取してはいけません。
・林内には立入らないでください。植生保護のため、歩道以外の場所には立入らないでください。
・ペットを持ち込まないでください。(ただし介助犬などは除きます。)
・野生動物に食物を与えないでください。
・ゴミは捨てないでください。
 自分で出したゴミは家までお持ち帰りください。ゴミ箱はありません。また、車で来られた方はアイドリングストップにもご協力ください。
・キャンプは禁止されています。
 山火事の防止、野生動植物の保護のため、大台ヶ原ではテントの設置のほか、たき火やバーベキューなどはできません。また、歩行中の喫煙もおひかえください。

服装・準備物

一般的な登山の服装、準備物に加えて、大台ヶ原では以下のものは必ずご準備ください。
・雨具
大台ヶ原は年間3,500㎜の本州最多雨量を記録する地域です。「弁当忘れても傘忘れるな」という地元の言い伝えもあるほど、天気予報どおりにはならず、雨具は必需品です。できれば携帯にかさばらず両手が空く、上下分かれたレインウェアがよいでしょう。 雨に備えて、リュックサックカバーや小分けの出来るビニール袋などを入れておきましょう。
・熱中症対策
大台ヶ原の標高は1,600m程度になります。平地から10度程度低い気温であることが多いですが、近年、夏には30度近くまで上昇することもあります。比較的初心者向けのコースと油断せずに、十分な飲料水や塩分タブレットなどをご準備いただき、熱中症対策をお願いいたします。

トイレについて

  • 東大台にはトイレは設置されていません。一度入山をすると下山するまで用を足すことができないため、入山する前に、大台ヶ原ビジターセンター駐車場に設置されているトイレを御利用ください。
  • 西大台には開拓跡に携帯トイレブースが設置されています。ブースには携帯トイレも設置していますので、持ち込みは不要です。使用済みの袋は持ち帰り処理してください。(民間団体により管理されていますので、維持管理費100円のご協力をお願いいたします。)

ツキノワグマについて

大台ヶ原を含む紀伊山地はツキノワグマの生息地です。以下の基本的な対策を守って安全に登山をしましょう

・クマ鈴など音が鳴るものを携帯する、集団の時は同行者と話すなどをしてツキノワグマにこちらの存在を知らせましょう。
ツキノワグマは臆病なので、向こうから意図的に接近してくることはありません。東大台には歩道上にベルを設置している箇所がありますので、こちらもご活用ください。
・食べ物を捨てないようにしましょう。捨てられた食べ物を食べ、匂いを覚えることで、人間が食べ物を持っていると思い接近してくる可能性が高まります。
発生したごみは責任を持って持ち帰ってください。
・遭遇した場合は声を出さず、少しずつ後ずさりして距離を置いてください。決して大声を出したり、背を向けて走ってはいけません。
向こうはこちらを警戒しているため、敵だと勘違いされないよう刺激しないことが重要です。  

交通アクセス

春から秋の観光シーズンや週末には、大台ヶ原ドライブウェイが混み合うことが予想されます。できるだけマイカー利用を避け、公共交通機関をご利用下さい。

◆公共交通機関でのアクセス 
大台ヶ原行き路線バスは近鉄大和八木駅・橿原神宮前駅から運行しています。
(注)大和上市駅には停車しませんのでご注意ください。
(注)曜日・時期によって運行形態が異なります。事前にご確認下さい。
詳しくは 奈良交通ホームページをご覧ください。

◆自動車でのアクセス
  • 西名阪自動車道 郡山インターより:約87km
  • 名阪国道 針インターより:約91km
  • 和歌山県新宮市から:約122km
  • 三重県尾鷲市から:約115km
(注)大台ヶ原駐車場の収容数は約200台です。特にGWや夏休み、紅葉など利用が集中する時期は早朝に満車になる場合があります。できるだけ公共交通機関のご利用をお願いします。
 
(注)連続雨量110mmもしくは時間雨量が25mm以上となった場合、大台ヶ原ドライブウェイは通行規制がかかります。規制情報は奈良県ホームページをご覧ください。
  奈良県 - 道路規制情報
 また、毎年12月初週から4月中旬は大台ヶ原ドライブウェイが冬期通行止めとなるため、入山できません。冬期通行止め情報につきましても奈良県ホームページをご覧ください。
  大台ヶ原ビジターセンター/奈良県公式ホームページ