ラムサール条約と条約湿地

ラムサール条約と条約湿地

ラムサール条約とは

1971年、イランのカスピ海湖畔の町ラムサールで、特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」が採択されました。これが「ラムサール条約」です。
平成25年10月現在、168ヶ国が加入しています。日本は、1980年にラムサール条約に加入しました。

ラムサール条約湿地とは

条約に加入する国々は、自国の湿地を条約で定められた国際的な基準に沿って「国際的に重要な湿地に係る登録簿」に登録します。これがいわゆる「ラムサール条約湿地」です。
ラムサール条約では、沼沢地、湿原、泥炭地または陸水域、及び水深が6メートルを超えない海域などを"湿地"と定義しています。その中には、水田、ため池、水路、ダム湖、汽水湖、河川、遊水池、塩性湿地、湧水地、地下水系、カルスト台地、ツンドラ、マングローブ林、干潟、藻場、サンゴ礁など、さまざまなタイプの湿地が含まれています。
世界には、平成24年8月現在、2,165ヶ所のラムサール条約湿地があります。また、日本のラムサール条約湿地は、全国で46ヶ所です。

ラムサール条約湿地の国際的な基準

基準1
特定の生物地理区を代表するタイプや固有のタイプの湿地、または希少なタイプの湿地
基準2
絶滅のおそれのある種や群集を支えている湿地
基準3
生物地理区における生物多様性の維持に重要な動植物を支えている湿地
基準4
動植物のライフサイクルの重要な段階を支えている湿地。または悪条件の機関流に動植物の避難場所となる湿地。
基準5
定期的に2万羽以上の水鳥を支える湿地。
基準6
水鳥の1種または1亜種の個体群で、個体数の1%以上を定期的に支えている湿地。
基準7
固有な魚類の亜種、種、科の相当な割合を支えている湿地。また湿地というものの価値を代表するような魚類の生活史の諸段階や、種間相互作用、個体群を支え、それによって世界の生物多様性に貢献するような湿地。
基準8
魚類の食物源、産卵場、稚魚の成育場として重要な湿地。あるいは湿地内外における漁業資源の重要な回遊経路となっている湿地
  • 魚類:魚、エビ、カニ、貝類

詳細はこちらをご覧ください[環境省ページ]

近畿のラムサール条約湿地

琵琶湖(Biwa-ko)

琵琶湖
写真提供:清水幸男
位置 北緯35度15分、東経136度05分
標高 85.6m
面積 65,602ha
湿地のタイプ 淡水湖、低層湿原
保護の制度 国定公園特別地域
所在地 滋賀県大津市他8市7町
登録 1993年6月

湿地の概要
湿地の概要
写真提供:湖北野鳥センター

琵琶湖は、日本のほぼ中央に位置する日本最大の淡水湖です。周囲235km、面積67,033ha。水深は平均41.2m、総貯水量は275億m3で、近畿地方1,400万人の生活を支える水がめです。滋賀県は周囲をぐるりと山に囲まれ、その全域から大小460本の河川が琵琶湖に流れ込み、流出河川は南西部の瀬田川だけで、京都、大阪を経て、淀川となって大阪湾に注いでいます。

固有の生物種

琵琶湖は、約400万年前にできたといわれる古い湖で、多様な自然環境に富んでいることから生物層も豊かで、約600種の動物、約500種の植物が生息・生育します。琵琶湖にだけ生息する固有の生物種も多く、魚類ではホンモロコ、ニゴロブナ、ビワコオオナマズなど11種、淡水貝類の約20種が固有種です。ガン・カモ類の重要な越冬地で、「東アジア地域ガン・カモ類重要生息地ネットワーク」に参加しています。

湖と人と文化

琵琶湖は豊富な水源、舟運、漁場、観光、そして心のよりどころとして、むかしから長年にわたって人々の生活と文化を支えてきました。淡水漁業が盛んで、伝統的なアユや鮒寿司で知られるニゴロブナ漁に加え、稚アユや淡水真珠の養殖も行われています。また、湖岸に生えるヨシは伝統的な建築材、インテリア材として利用されています。四季折々の湖岸の観光名所は枚挙にいとまがありません。

水資源利用の見直し

高度経済成長にともない水質汚濁、富栄養化、ヨシ群の消失が進行し、琵琶湖の環境は深刻な問題となりました。滋賀県は、環境、水質を改善、再生させるため、琵琶湖富栄養化防止条例や、ヨシ群落保全条例、自然公園法などさまざまな法的措置をとってきました。
1970年代後半には、中性洗剤の使用を減らす「せっけん運動」を市民が提唱するなど、保全への住民参加の歴史も古くからあります。
2001年には、マザーレイク21計画(琵琶湖総合保全整備計画)を策定し、官民一体となっての保全への取組が進められています。

串本沿岸海域(Kushimoto Coral Communities)

串本沿岸海域

位置 北緯33度28分、東経135度44分
標高 -20~0m
面積 574ha
湿地のタイプ 非サンゴ礁域のサンゴ群集
保護の制度 国立公園海中公園地区、普通地域
所在地 和歌山県串本町
登録 2005年11月

湿地の概要

串本沿岸海域は、本州の最南端、紀伊半島先端の潮岬付近の海域です。潮岬周辺の海岸は自然度の高いリアス式地形で、大半が水深20m以下の浅くて透明度の高い海が広がっています。
この海域は、フィリピン沖から太平洋を北上する暖流「黒潮」が接岸するため、その影響を強く受け、年間の平均海水表面水温が21.1℃と温暖な環境にあり、塩分濃度も年間平均35.0%と高くなっています。こうした環境によって、串本沿岸海域は北緯33度という高緯度にありながらも、造礁サンゴ群集を中心とした熱帯性の生物群集が豊富に見られる特異な地域となっています。
中でも最も特徴的な生物がサンゴで、120種のサンゴが美しい海中景観を作り出しています。
条約湿地として登録されているのは、錆浦(さびうら)地区、潮岬西岸地区、通夜島地区の3つの海域です。

サンゴ群集

この海域におけるサンゴの最優占種はクシハダミドリイシで、高い生産力と地形形成力を持ち、美しいテーブル状サンゴの景観を生み出しています。クシハダミドリイシ群落は、この海域のほぼ全域に分布し、特に錆浦地区の浅海域で、高い密度の大規模な純群落を見ることができます。これに次ぐ優占種はキクメイシ類サンゴで、その他、オオナガレハナサンゴなど多くの種が、世界の分布の北限となっています。
このように串本沿岸海域は、海岸線の自然度が高く、温帯気候の日本の高緯度にありながら、サンゴをはじめとする熱帯性の生物群集が形成される稀少な価値を持つ重要な海域です。

海中公園

錆浦地区には4ヶ所の海中公園が設けられ、沖合140m、海底6.3mの海中展望塔からは、サンゴの海を目の前で鑑賞できます。海中遊覧船で船底から海中を楽しむことができます。周辺にはダイビングスポットが多数あります。

円山川下流域・周辺水田(Lower Maruyama River and the surrounding rice paddies)

円山川下流域・周辺水田
写真提供:豊岡市

位置 北緯35度62分、東経134度84分
標高 0~20m
面積 560ha
湿地のタイプ 河川、河口域、河川の中州、水田、人工湿地
保護の制度 国指定鳥獣保護区・特別保護地区、国立公園特別地域、河川区域
所在地 兵庫県豊岡市
登録 2012年7月

湿地の概要

兵庫県の北東部、豊岡市に広がるこの湿地のキーワードは「コウノトリ野生復帰」であり、その特徴は「再生と創造」による湿地であることです。

この区域には、河川の本流12㎞が含まれます。全長68㎞の円山川は、日本海に近づくにつれて勾配が極端に緩やかになり、その水面は池や沼と見間違えるほどです。この円山川を中心に、地域住民により休耕田を活用して作られた湿地など、周辺にはさまざまな主体の活動によって創造・維持されている湿地が存在します。また、それらの湿地には、コウノトリの餌となるナマズやフナなどの魚類やカエルの仲間など、豊かな生物が生息しています。コウノトリの野生復帰の取組みが地域の人々の暮らしや文化に新たな価値を生み出し、地域をあげての湿地保全活動が行われています。

コウノトリ野生復帰

コウノトリ
写真提供:豊岡市

コウノトリは環境省のレッドリストで絶滅危惧ⅠA類に掲載されています。日本では1971年に一度は絶滅しましたが、最後の生息地だった豊岡市で野生復帰の取組みが続けられ、放鳥と繁殖を経て、2013年現在で約70羽が生息しています。コウノトリ野生復帰は、餌となる生き物に満ちた豊かな自然環境を再生するとともに、大型の鳥を人々の暮らしに受け入れる文化を創造していくことでもあります。

コウノトリ育む農法による米づくり

水田は、コウノトリの重要な採餌場所です。豊岡市では、冬にも水田に水を張る冬期湛水や、中干時期を延期する水管理など、お米と生き物を同時に育む「コウノトリ育む農法」による米づくりが広がっています。冬期湛水の水田には、コハクチョウやガン・カモ類なども飛来しています。

リンク

ラムサール条約事務局 ホームページ
琵琶湖・水鳥湿地センター ホームページ
串本海中公園 ホームページ
豊岡市 ホームページ

地域環境データベース
  • アクティブ・レンジャー日記 近畿地区(リンク)
  • 浜甲子園周辺を渡航する際の注意(リンク)
  • 吉野熊野国立公園80周年・拡張記念(リンク)
  • 観光・地域づくり ~施策・支援メニュー~(リンク)
  • 環境省Twitter(リンク)
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