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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

よしくまの奇祭

2016年07月19日
吉野熊野国立公園 青谷 克哉

 7月は文月、七夕の季節ですね。一説には、字が上手くなりたい!と書道の上達を祈り、短冊に歌や願いを書いてお祈りした七夕の祭事から、「文披月(ふみひらづき)」が転じて文月になったとか。字はもう少し上手になりたい、吉野自然保護官事務所の青谷です。

2016年吉野熊野国立公園"よしくま"を盛り上げようということで、前回は下北山村の前鬼・三重滝を紹介しました。今回は第二弾、"よしくま"の文化として吉野山のお祭りをご紹介させて頂くとしましょう。

 吉野山では、毎年7月7日に「蓮華会・蛙跳び行事」という祭事が行われます。蓮華会は、修験道の開祖である役行者が産湯に浸かったとされる池から蓮華を運んできて、蔵王大権現に奉納するものです。蛙跳び行事はその昔、山上ヶ岳の大峯山寺にて、1人の男が蔵王大権現を誹った(バカにした)ことから天罰がくだり、大きな鷲にさらわれ、崖に置き去りにされました。その時の場所とされるのが、山上ヶ岳に至る道中で見ることができる鷲ノ巣岩です。

左の岩が鷲ノ巣岩


 さて、崖に置き去りにされた男は自分の言動を深く後悔し、崖の上で許しを請いました。それを見た金峯山寺の高僧が男をカエルに変えて救いました。その後、蔵王大権現の宝前にて読経の功徳により、人の姿に戻れたという伝説です。

 まず、カエルの乗った御神輿が金峯山寺蔵王堂にやって参ります。

カエルを乗せた御神輿

 蔵王堂に到着したら、蓮華会が行われ、その後蛙跳び行事が始まります。下の写真は、僧の方たちの読経を受けるカエル。

 その後、無事人間に戻れました。ちなみに、カエルを真正面から見るとこんな感じ。

真正面カエル

 ちょっと怖いかも知れないですね。しかし、御輿に乗っているときは手を振るなど愛嬌たっぷりです。

こういったお祭りは、長い歴史の中で脈々と続く文化の一部であると思います。

 このお祭り以外にも、"よしくま"では様々なお祭りが開催されます。奈良、三重、和歌山とよりどりみどりでどれに行こうか悩みますね。そんなときは、近畿地方環境事務所のホームページから、パートナーシップイベントカレンダーをご覧下さい。

HPアドレス⇒http://kinki.env.go.jp/to_2016/8024.html

 暑さ寒さも彼岸までとはいいますが、外に出かけられる際、山に登られるときは、十分にお気を付けて。それでは、今回はこれにて。

 ※写真は許可を得て掲載していますので、無断での転写等は、どうかご遠慮下さい。


カエルのササ飾りカエルの笹かざり 願いが叶いますように